目的も根拠となる計画もあいまいなことは、前回(10月9日)の活動報告で述べましたが、価格はどうでしょうか。
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■あいまいな価格の決め方■
〜財産価格審議会〜
公有財産は、適正な価格と条件で取得、あるいは貸付、売却することも重要です。
例えば大森北一丁目開発の50年の定期借地の地代は、財産価格審議会にかけていません。7月の委員会において財産価格審議会との関係をうかがったところ、「必要はないと所管部局から聞いている」という答弁がありました。
大田区は、公有財産の価格料金の決定について「公有財産管理規則」第40条に
「財産の管理に関する価格の決定に関しては、大田区の財産価格審議会の議を経るものとする。ただし別に区長が指定するものについてはこの限りでない。」
と定めています。そして、ここにただし書きの規定による区長が指定する=つまり、財産価格審議会に付議することを要しないものを指定する区長決定文書があります。
この区長決定の第2条に普通財産の貸付料が月額100万円未満のものは付議しなくてよいとしています。
【質問③】
「大森北一丁目の地代」は建物が建設される前でも月額125万円。完成したのちは556万円ですから当然財産価格審議会にかけなければならなかったのではないでしょうか。
【答弁③】
競争入札の場合も付議しなくてよいとされている。
【再質問④】
大森北一丁目開発はプロポーザルで行っています。プロポーザルと入札は異なると考えますが、仮にプロポーザルを入札と解釈するのであれば、少なくとも、提案者の地代等土地に係る条件については公表すべきであり、しなくてはならないのではないでしょうか。
区は、プロポーザルに係る文書を非開示としていますので、入札にあたらないのではないでしょうか。
【答弁④】
答弁③の繰り返し。
これらの質問と答弁から、不動産鑑定にかけるかけないといった規則に定められている基本的なことが、あいまいな解釈により守られていないことがわかります。
しかも、大田区は財産価格審議会の議事録さえ非公開となっているのです。
資産活用担当課長は、東京都から専門性を買われて大田区に任期付き採用できています。その東京都でさえ、部分開示を行っているにもかかわらず、大田区は、「東京都と異なる特殊性がある」ため開示できないと答弁しています。
具体的な特殊性についてうかがいましたが、答弁を得ることはできませんでした。
〜不動産鑑定〜
国土交通省も複数鑑定が望ましいとしており、田区でも土地収用の際には、東京都同様複数(2社以上の)鑑定を行っています。
しかし、土地収用以外の売買や賃貸では、一社鑑定、あるいは、鑑定をしていないケースもあります。
区は、予算を持ち出し、一社で良いと答弁していますが、複数鑑定を無駄な支出であるとするのであれば、現行の土地収用の複数鑑定をどのように説明するのでしょうか。
より適正な価格を導き出すための複数鑑定を行うのと、不動産鑑定料を節約し、結果として、価格の公正さを逸するのとどちらが、適正な税の支出であるかは明白です。