大田区の公有財産(=土地)の有効活用の課題③/【不透明な契約条件】

①目的・計画性②価格の次は契約条件です。

 価格にもかかわりますが、大田区の土地取引きにおいて、瑕疵担保責任・土壌処理費用負担・更地引き渡し・土地売買時における、不要な建物の評価の考え方などあいまいになっている事項が少なくありません。

 このあいまいさが、公正・公平・適正さを阻む要因となってはいあにでしょうか。

【契約条件】
 次に価格にも大きく関わる契約条件についてです。
 
 先日の第三回定例会において、旧西行政センターの土地と建物売却に係り、譲渡価格に大きく影響するPCBとアスベストの処理費用負担が、アルプス電気と大田区との間の合意でありながら、議会に説明無く支払われることになってしまった問題について指摘しました。

 この一件にとどまらず、大田区では、さまざまな曖昧な条件のもとに土地売買契約を締結している事例があります。

■更地引き渡し原則の例外とは■

 例えば、土地取得の場合、更地引き渡しが原則ですが、旧大田体育館隣地は、当初購入予定がなかったにもかかわらず相手側から持ちこまれたからといって購入。 建物を使用しないことがわかっていながら、建物も資産評価し、通常売主負担の解体費用も大田区が負担しています。

■売主負担の土壌汚染費用を買主が負担する理由■

 また、土壌汚染が存在する土地の評価は、その汚染がない場合の評価から浄化費用や心理的要因による減価をした価格がその土地の価格になります。しかし、大森南の米山紙商事から購入した土地は、売主負担であるはずの解体費用を、100%大田区が負担した上、土壌調査費用100%。土壌処理費用50%を大田区が負担しています。

 同じく大森南のフシマンの跡地も解体費用の50%と土壌調査費用の50%を大田区が負担しています。

■議会へ事前説明のない契約条件■
 これらの契約に係る条件と言ってもよい事項は、大田区土地開発公社が取得していたこともあり、議会への説明はありませんでした。議会への説明が必要であることは言うまでもなく、こうした、売主に配慮した支払は、その根拠を明確にする必要があるのではないでしょうか。

 区に、大田区が大森南の土壌汚染費用を50%負担した理由についてききましたが、記録も無く、契約の交渉のなかでというだけで明確な回答は得られていません。

【質問⑤】
 土地価格とは別に、負担する必要のない費用を財産価格審議会にかけずに大田区の所管部の裁量で負担したということになれば、公金の不適切な支出になると思いますが、どのような根拠で負担をしているのでしょうか。

【答弁⑤】
 土地取引の交渉のなかで決めた。

 たとえば、財産価格審議会(=財価審が:公有財産の価格に公的なお墨付きをあたえる区長設置の諮問機関)にかけた土地の価格は土壌処理費用を差し引いた額であるはずです。それに、解体費用や土壌汚染処理費用を加えて購入していいのでしょうか。
 
 これらの契約は、前区長の時代に行われたものもあり、こうしてみていると、西野区長から民間出身の松原区長に代わっても、公有財産の取得や活用方法はまったく変わっていないようにうつります。

 本庁舎が狭くなったからと相次いで民間オフィスを賃借している一方で、区役所周辺の土地を買っても活用目的は一年近くも定まらず、利子負担ばかりがかさむ。

 しかも、ほとんど立地が同じオリンピックの蒲田五丁目は、将来の再開発のための暫定利用として20年間民間に貸し付けています。
 しかし、共同で再開発に取り組むはずだった地権者は、既に土地を売却しホテルが建っています。大田区が貸しつけた土地は、思わく通りの再開発事業用地としては不可能で、何故20年の定期借地にしているのか説明がつかなくなっています。
 
 種地が簡単に種地にならない事例です。

 資産活用・運用については、進んでいないどころか、かえって、後退しているようにみえるのは私だけでしょうか。あまりにも民間感覚=区民感覚とはかけ離れています。


なかのひと