大田区のアスベスト対策「”対象外”アスベスト、区内施設調査」

”対象外”アスベスト、区内施設調査】
 これまで、考えられていた3つの種類のアスベスト「白石綿」「青石綿」「茶石綿」以外にも、アスベストが存在し、それらが、調査の対象になっていなかったことが明らかになりました。
 
 新たに加わるアスベストは3種類。
 一般に、白、青、茶の石綿の有害性は、1:100:500と言われていますが、新たなアスベストの有害性は、青石綿に近いと言われています。
 
 大田区でも、区の全ての施設のアスベスト調査が終了し、近日中に建て替えの予定されている一施設を除き、全ての施設の0.1%以上の飛散性アスベストの除去が終了しています。

 しかし、今回の国の公表により、新たに加わる3種のアスベストが、まだ区の施設に使用されている可能性がでてきました。

 そこで、大田区は、過去に行った、飛散性アスベストの使用が疑われる全ての箇所の調査の調査のうち、アスベストが検出されなかった箇所についての新たな調査を、今年度中に行い20年度に適切に処理することにしました。

 アスベストについては、その有害性が指摘され、学校などこどもの使用する施設について過去に調査を行ってきましたが、国がその対象を限定したり、誤った情報を自治体に通達したことにより、十分な対策がとられてこなかったという過去の経緯があります。
 今回の国の新たなアスベストの存在の公表は、新たな被害者を生み出しかねない大きな問題であり、同じ箇所について二度調査をすることでの費用負担などを考えても、なぜ、今頃になって公表するのか、甘いリスク管理やずさんな指導に対する国への憤りを禁じ得ません。

 しかし、一方で、新たなアスベストについては、過去にどのくらいの量が輸入され、何に使用されてきたのかといったことなど、まだまだ明らかになっていない部分が多くあります。
 データから新たな種類のアスベストであると解析する方法もまだ十分に明らかになっておらず、JIS規格も今年の4月に改正される予定です。

 また、23区ではほぼ一斉に年度内に、予算計上していないため予備費を使って調査を行うと聞いていますが、大田区だけで100以上の施設が対象になっており、23区全体、或いは、東京近郊では、莫大な数の解析を一時期に集中して行わなければならないことになります。
 十分な解析技術をもった人員の確保がどうなるのかも気になるところです。

 果たして、全てのデータを性格に解析し、漏れ無く、飛散性アスベストを識別することができるのか、量的にも、また、技術的にも不安が残ります。

 いくつかの区から相談を受けた「中皮腫じん肺アスベストセンター」事務局長 永倉さんは、こうした不安についても各区の担当者に話されたそうですが、結果として、各区横並びで調査を行うことになっています。

 国の今回の新たなアスベストの公表にも問題がありますが、それを受けた自治体が、調査漏れや調査ミスの無い十分な対策をとることが重要です。
  

なかのひと