区は、検査結果により、掘削土壌にアスベストが含まれていたことを認めましたが、今後の改善策についての説明は不十分で、アスベストを飛散させない工事がおこなわれる確証を得ることはできませんでした。
また、アスベストを飛散させながら、周辺住民や工事従事者に対する周知方法などについても示されませんでした。周辺には区立保育園や病院などもあり、影響に対する区の認識の低さが露呈した形になりました。
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2度にわたる大田区の説明会からみえる、現状の問題点をあげてみたいと思います。
①事故の全容が明らかになっていない
飛散防止策をとらず、アスベストの含有した土壌を掘削し、その土壌を2日間にわたり放置したことにより、アスベストを周辺に飛散させたであろうことは容易に想像できます。
しかし、区は、その際のアスベストを吸い込んだであろう作業従事者に対し、どのような対処をしているのか、また、周辺には工場や病院、保育園、その他施設や商店、住宅がありますが、そうした方たちにいつ何が起きたのか、それに対して区はどのような対処を講じるのかをどのように知らせるのか全く示しませんでした。
たとえば、文京区の保育園で工事を行った際にアスベストを飛散させてしまった事例では、検討委員会を立ち上げ、関係者と専門家とが事故究明と対処について長期間をかけて検討し報告書にまとめています。
工事によりアスベストを吸ってしまったかもしれない園児や職員に対し、証明書を発行し、最後の一人が亡くなるまで追跡調査を行っていくとしています。
今回、区は、アスベストセンターの質問に対し、報告は何らかのかたちで行わなければならないと回答したものの、第三者が入るのかなど調査の形態までは示されず、形式的な記録にとどまり、事故の全容が明らかにされないのでは無いかという恐れがあります。
②改善策が「作業員への教育」だけで、明らかになっていないため、再発の恐れを払しょくできない。
そもそも、事故の原因がどこにあるのかを明らかにしていません。
施工計画書のどこに問題があり、どの部分をどのように変更したのか示していないばかりか、施工計画書事態をまだ作成しておらず、今後作成すると言っているのですから、改善策もあったものではありません。
区は、アスベストの無いと示された場所を業者が掘ってしまったが、今後は、全部アスベストがあるとして掘れば大丈夫と説明しますが、作業工程表を区に届けず作業に入る事業者にも、また、作業工程表無くして作業に入ることを許す大田区に問題があり、アスベスト処理以前の基本的な部分についても確認する必要があります。
③現行法や条例では、土壌中のアスベストが、規制の対象外のため飛散させたことが重大視されていない
環境省も厚生労働省(労働基準監督署)も東京都も、土中のアスベスト対策の不備により飛散させたにも関わらず、法規制の対象外のため容認しています。
アスベストを飛散させたのは、大田区が法規制外であることを良いことに、十分な飛散防止対策を講じてこなかった結果であると言っても過言ではありません。
さらに、今後の対策も同様の認識で進めば、さらなる事故を起こしかねません。
しかし、工事現場は、高い覆いで囲われているため、何が起きているのか周辺住民がチェックすることができない環境です。
④果たして4億円もの税金を投入して行う工事として適正か 飛散防止策を講じず、飛散させ、しかも、今後、発注した業者ではなく、大田区が専門家を雇い工事現場に配置するといいます。
事業者選定は適正だったのか。また、4億円の積算根拠は妥当だったのか問い直す必要があります。
以下に、区が口頭で示した改善策を記します。
①作業開始の12月1日に、作業員に対し工事の意義や注意点について研修を行う。
②土壌調査によりアスベストが検出されなかった区画についても土壌入れ替え工事を行う。掘削エリアを全面に拡大する。
③表層3,40㎝からアスベストがでたため、慎重に見極めながら掘る。
④全面掘削したいが、隣地(太陽建機)との境=万年塀の際の部分は掘削が困難なためコンクリートで封じ込めになるかもしれない
⑤掘削後、よく見たうえで、これ以上アスベストが無いと判断しても4か所を50㎝程度試掘する。
⑥区の監督員や別の管理員を依頼する。施行業者もいるが。
⑦掘削終わったエリアも最終確認までシートで覆う
⑧掘削の湿潤環境は適度に湿らせるため霧状に水を散布する。散布は前日から行う。
⑨アスベスト粉塵濃度測定は6日に1度としていたが、週2日とし掲示する。
⑩風速計に数字がわかるようディスプレイをつける。
⑪掘削土壌は二重に梱包する。
⑫労働基準監督署からは土壌アスベストは対象外であり基準は無いといわれている。
⑬飛散防止のためのテント内での作業は、負圧を確保して作業する。
施工計画書は現在策定中。