■施設間でばらつきのある節電対策■

例えば、平成17年から21年までの5年間について保育園で使用されてきた電気使用量をみると、ほとんどの施設が電気使用量を減らしていますが、その減り方には大きな違いがあるうえ、逆に電気使用量を増やしている施設もあります。

小中学校はこの間エアコンを設置しているため、土の施設も電気使用量を増やしていますがその増え方も様々です。ガスエアコンだから電気使用量が少なく、電気エアコンだから多くなっているというわけではないのです。

こうした施設ごとのばらつき全てに区は果たして合理的な説明ができるでしょうか。

民間事業者の節電対策は徹底していて、ビル内の節電のためにコンセントと利用者の情報を関連付けることで、職場ごと、利用者ごとの電気使用量を可視化できる「スマートコンセント」と呼ばれる小型電力センサーを設置するなど、きめの細かい節電対策に取り組んでいるところもあります。

現在の、大田区の電気使用は、各施設にその支払いがまかされているものの、同規模の保育園間・学校間等での比較や、前年に比べ増えてしまった理由を分析することも、減らせることができたノウハウの共有も行われていません。

そこでうかがいます。施設ごと標準電気使用量といった概念さえ無い現状において、区は、一律15%削減などという乱暴なことを言っていますが、まずは、施設ごと使用電気量の目安を作るところから始める必要があるのではないでしょうか。

■民間事業者との効果的な電気料金負担のしくみ構築のために■

また、大田区では、民営化や民間委託、そして先ほどの指定管理者制度などを採用し多様な形態で公共施設において区民サービス提供を行っています。ところが、これらの光熱水費の負担のありかたは、様々で大きくわけると3つの方法があるようです。

ひとつが、光熱水費を大田区負担として大田区が直接支払っている方法です。

この方法を採用するといくら使っても大田区が負担してくれるため、節電や省エネに取り組む意識が薄れます。民営化保育園などがこの方法にあたります。

 2番目が、清算方式と呼ぶべき方法です。

指定管理者制度を採用している場合にみられますが、光熱水費予算を計上し、指定管理料として年度末に実際の使用料との差額を精算する方法です。

 予算額をいくらに設定し、それを超えた場合には、どちらがどう負担するのかといった契約方法の工夫によって、節電、省エネ意識を与えることも可能ですが、大田区が現在行っている方式では、多めに予算計上されていて、年度末に余れば返してもらうパターンになっているようです。

 例えば、前年使用量を目安に上限を設定し、それを上回って使用した場合には、その1/2を事業者負担とするが、節電・省エネにより下回った場合には、1/2を事業者が自由に使えるよう翌年に補助金として支給するなど、契約方法の工夫により、節電・省エネ意識が高まる可能性があります。

 この方法は、民間委託や指定管理者制度だけでなく、学校現場において採用している自治体もあると聞いています。

 3つめは、光熱水費だけは、事業者負担としている方法です。

 例えば、区立特養は利用料金制を採用していますが、光熱水費は事業者負担としているため、省エネや節電に取り組めば、結果として事業者の利益が増えるしくみになっています。

 今回指定管理者制度の事業者指定の議案が出される大田区総合体育館も、光熱水費は事業者負担にする予定と聞いていますし、規模は大きくありませんが、補正予算に計上されている平和の森公園内の旧緑の展示室改修後の区民活用についても、光熱水費は区民団体負担にすることを前提に事業プランがたてられています。

 資源を大切にすることや節電・省エネには大賛成ですが、一方で、行き過ぎた無理な節電は、景気を冷え込ませたり、私たちの気持ちを落ち込ませかねず、社会全体が、停滞する恐れがあります。

一律何パーセント削減といった目標は、施設ごとの節電の取り組みに差がある現在の大田区には適当ではありません。漫然と光熱水費を使ったり、必要以上に節電・省エネして施設利用者の利便性を損ねることがなくインセンティブを与えられる節電や省エネの仕組みの構築が重要ではないでしょうか。