本気で取り組む大田区の「節電対策・省エネ対策」のために必要なこと【その①】

今年の夏の節電対策が叫ばれています。

一旦は、既に発電設備は、今年の夏の電気使用量を確保する程度には復旧したと公表されましたが、だからと言って、資源を無駄に使うことは許されません。

今だから発言したい今年の夏の節電対策、省エネ対策です。

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東日本大震災とそれに伴う原発事故により、様々な場面での節電が課題になっています。

■家庭の電気使用量は全体の2割程度■

しかし、聞えてくる節電の呼びかけは家庭向けが多いように感じます。

ところが、電気使用量全体に占める家庭使用割合は電力使用量全体の2割にすぎないことや、年間を通じた電気使用量のピークが8月の平日午後13時から16時であることなどからも事業者の節電が、今年の夏の大きな課題であることがわかります。

■1事業者「大田区」としての役割■

大田区は一事業者であると同時に企業も含めた区民への手本、見本にならなければならない存在であり、自ら、節電や省エネを推進するとともに、先進的事例になって取り組む責務があります。

これまで、何度も指摘させていただいていていますが、大田区はエコオフィスプランにおいて、平成11年度比で区の庁舎や施設で使用する電気・都市ガス使用量を平成21年度までに△11%削減するという目標を掲げてきました。

そして、平成11年度の総電気使用量4216万Kwhから平成21年度末の電気使用総量3600万Kwhになったことをもって電気使用量が△14.6%と目標の△11%を大きく超えて達成したと公表しています。

それでは、本当に大田区の消費電力は、節電効果によって削減されているのでしょうか。点検すると、この数字には、大きなトリックがあることがわかります。

■”データ操作”で達成できた大田区の省エネ「エコオフィスプラン」■

指定管理者制度がスタートし、この間指定管理者制度を採用した施設について、大田区は、民間が管理しているとして使用している電気使用量をのぞいて総電力量を計算しているのです。

同じ施設数を分母にして比較しているのならわかりますが、こうした数字の操作の結果作った見せかけの電気使用量減をもって、節電や省エネをアピールする現在の大田区の姿勢に対して大きな失望を覚えるのは私だけでしょうか。

一方で、大田区は区報6月5日号で夏季節電に伴う区内施設7月〜9月の利用についてのお知らせを行っています。

■区民に我慢を強いる節電・省エネだけでいいの?■

冒頭で申し上げましたが、今年の夏の節電対策のポイントは8月平日の午後2時から4時のピークをいかに避けるのかということです。

確かに区報の通り、平日の午後1時から5時までの間、文化センターや区民センターを閉館すれば、その時間の電気使用量は節約することができるでしょう。しかし、大田区が取り組む節電計画は、施設の営業時間を短縮する以外の何ものでもなく、結果として、区民に対して我慢を強いるかたちの節電対策です。

確かに無駄な電気使用は極力避けるべきですが、区民の平日の午後の区施設活用を無駄とするなら、大田区の事業そのものが無駄と位置づけられかねません。

ピークを避けることや無駄を排除することと、活動を制限することを同じレベルで取り扱うことに問題は無いでしょうか。

私は、区民サービス提供に支障をきたすのではなく、無駄な電気使用を避けるための節電や省エネに取り組むことこそが重要ではないかと考えます。

■組織として取り組めていない大田区の節電・省エネ■

それでは、大田区自身はいったいどれだけの工夫や努力をして、節電や省エネを行っているのでしょうか。

現在、大田区が指定管理者制度を採用している施設は108施設にのぼります。大きなところではアプリコや産業プラザ、図書館やプールも指定管理者制度を採用しています。

区立特別養護老人ホームや障害者施設の一部も指定管理者制度を採用しています。

今回の質問準備にあたり、私は、大田区の指定管理者制度を採用している施設も含めた全ての施設毎の電気使用量と電気料金を一覧で欲しいと要望してきましたが、結局、大田区公共施設の一部しか出していただくことができませんでした。全ての公共施設の電気使用状況をきちんと区民に公表できる状況にすることから始めなければ、そもそも節電には取り組めません。

いただいた資料から、指定管理者制度を採用している施設が全体のどれくらいの割合かみてみました。

平成22年度末で、大田区が電気使用量契約を結んでいる施設は299と聞いています。現在、指定管理者制度を採用している施設は108ですから、平成11年当時おおよそ407施設あった施設がエコオフィスプラン終了年度末には3/4になったことがわかります。

規模の違いがあり、一概に言えないものの指定管理者制度を採用している施設には大規模施設も含まれますので電気使用量15%減は決して誇れる数字ではありません。

同じ施設間で電気使用量を比べれば、増えている可能性が高く、指定管理者を採用した施設を除かずに比較したら、エコオフィスプラン目標△11%達成はありえないでしょう。

こうした指定管理者制度に影響された見かけ上の電気使用量に一喜一憂するのではなく、大田区が行っている事業が、節電・省エネにより無駄な電力を使用すること無く執行されているか一つ一つの施設を丹念に点検していく必要があります。