待機児解消が「与党」では難しい理由
4月の入園を前に、保育所探しに悩まれている方も少なくないと思う。政府は待機児解消ゼロと言っているが、実は、必要な財源さえ確保していない。今日は、政府の計画に従う「与党」では、待機児解消が難しい理由について。
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4月の入園を前に、保育所探しに悩まれている方も少なくないと思う。
保育所が決まっている方の中にも、保育料の安い認可園ではなく、とりあえず決まったものの、東京都であれば認証保育所などで、保育料に頭が痛い方も多いのではないだろうか。
【厚生労働省の待機児の定義】
しかも、厚生労働省が、2001年に(*)待機児の定義を変えてしまったので、保育所が決まっているものの、保育料の安い認可保育所ではなく、東京都であれば認証保育所などのため、高い保育料に頭が痛い方も多いはずだ。
【待機児0!実は5年後?】
政府は待機児解消ゼロと言っているが、実は、「5年後の平成29年(2017年)まで」という但し書きがつく。政府は、待機児のピークを平成29年と予測し、それまでに待機児を0にしようとしているというわけだ。
【待機児0!でも、政府は、必要な財源をはじめから確保してない?】
http://blog.goo.ne.jp/nasrie/e/13095df40924ae3b383109c004b573f2
しかし、その5年後の解消に必要な財源は確保していない。
政府は、待機児解消含めた子育て支援に必要な財源を1兆円と試算し消費税増収分をこれにあてるとしている。ところが、必要な1兆円に対し、あてる財源は7,000億円。最初から、財源不足の計画だ。
にもかかわらず、待機児0のスローガンだけは勇ましい。
そもそも、国の7,000億円のうちの待機児対策費4,000億円は施設整備基金。
施設整備費が足りていないことも問題だが、不足分する整備費や運営費は自治体が自主財源で負担しなければならない。
国がいくら施設整備をふんだんに積んだところで、自治体が、自己負担分を「ケチれば」待機児解消は遠のく。
【税制改正により待機児の深刻な自治体ほど税収が減る】
、その上、今年度からの税制改正で都市部の区市町村の税収が減る。
都市部ほど、待機児問題は深刻なので、待機児に困っている多くの自治体は、財源がさらに厳しくなる。
①待機児が増えると、待機児の定義を変えて待機児数を減らし
②社会保障のための消費税増税と言いながら、必要な財源を確保せず
③待機児の深刻な都市部の税収は減り
政府のえがいた7,000億の待機児解消計画では、待機児のピークとなる平成29年に待機児を解消することはまず不可能だ。
【都や区や県や市に臨むこと】
となると、都や県が施設整備費を上乗せし、市区町村が、他の施策に優先して待機児対策に取り組む必要がある。
オリンピックが決まり、たとえば大田区は、オリンピック推進課を作り、意気込んでいる。
オリンピックに乗じて、道路などインフラあれこれの公共事業に期待する勢力も少なくない、というか多い。
そいういう中で、保育を優先課題として取り組まなければ、待機児は解消できないということだ。
【都市部の子どもの数が減るのを待ってる?】
そうやって時間を稼いでいるうちに、待機児ピークの平成29年はすぐそこだ。
そして、子どもの数は減り、保育園入園希望者も減っていく。
【子どもの数が減った後を見越して行われること】
すると、保育園が余ってくる。
その時を見越し、自治体や政府は、これから何をしているか。そして、するのか。
①株式会社のさらなる保育分野への参入
②公立保育所・社会福祉法人立認可保育所の認定こども園への移行
③公立保育所の保育士退職不補充により保育定員削減
予算審議の時期だが、これまでの政府の計画に従っていたのでは、到底待機児解消は望めない。
自治体で、平成29年のピークを時の入園希望者数を示し、そこまでの待機児解消フレームを示していただきたいものだ。
23区の大田区で待機児を出す理由について「計画行政」からの視点、東京都との財政調整制度からの視点
http://blog.goo.ne.jp/nasrie/e/2cb33566f509ed53c35ef69e1c1c1c32
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(*) 待機児の定義(2001年に定義変更)
旧定義=申込人数-認可保育所入所人数
新定義=旧定義の待機児童数-国が定める定義に該当するもの
待機児童とは、「 国が認可する保育所への入要件を満たし、 申込みされているが、施設の不足や保育希望時間調整がつかないどの理由によって入所できないでいる児童」のうち、「地方公共団体施策によって指定された保育所 でいる児童」と「入所可能な保育所があるにも関わらず、他の保育所を希望するなど保護者の私的な理由で待機児している場合」