設計段階でバリアフリー点検

 シルバー産業新聞の連載第3回の記事の全文をご紹介します。
 

 設計段階でバリアフリー点検

 〜障害当事者の声を反映〜

【遅かった提言からの反省】
 「やさしいまちづくりの会」発足前に、会の構成メンバーが中心となって「大田文化の森」の施設及び周辺道路のバリアフリー点検を行なった。
 ところが、このバリアフリー点検をした時点では既に工事が始まっていて、提言を反映させることができる部分に限りがあった。そのことから、次回からは、設計の段階、図面の段階からバリアフリー点検に参加したいという要望が、区にあげられ、実現したのが「浜竹図書館」の建て替えだ。
 設計段階から区民が関わったのは、この「浜竹図書館」が大田区として初めてである。
 「大田文化の森」での最終点検が2001年9月。翌02年の1月には、「浜竹図書館」の基本設計図面をもとにしたバリアフリー説明会が開催されることになる。障害当事者の声をスピーディーに取り上げた区の姿勢は、評価すべきであると考える。
 通常は、「東京都のまちづくり整備要綱」に基づき行なわれるバリアフリー設備設置だが、基準だけでは不十分であると感じていた区の担当者と、当事者の希望が一致したという背景もここにある。

【建て替え図書館の評価は高く】
 1月の基本設計図面をもとに行なわれた意見交換をもとに図面が修正され、この、新たな図面を基に02年8月、二回目の懇談会がおこなわれた。
 これら二回の、図面を基にした意見交換の結果、03年11月に浜竹図書館がオープンした。
 本年1月には、バリアフリー設備見学会が行なわれ、「やさしいいまちづくりの会」の意見が盛り込まれた施設の、使い勝手を検証するとともに、見落としていた箇所はなかったか等の確認をした。
 「やさしいまちづくりの会」の浜竹図書館へのバリアフリーへの評価は、非常に高く、日頃、辛口なメンバーもこの日は終始笑顔で施設内をまわっていた。
 特に、サイン(表示)に関しては、視覚障害者の見え方や、車いす利用者の目線など、当事者の声が大いに役立ったというのが、区の担当者の感想である。
 
【コスト抑制に大事な時宜】
 気になるのが、コストだが、これまで平面のみで対応してきたサインを立体と組み合わせてほしいという要望などで、若干の増となったが、選択の範囲内で解決できることも多く、さほどの影響は無かった。設計の手戻りの無い時期をうまく見計らって意見交換会を行なえば、スケジュールも最小限のロスで抑えることが出来るので、大田区も、この基本設計の段階でバリアフリー点検を行なうことかたちを今後、定着させていきたいといっている。
 ひとつ気になることがあるとすれば、これは、全てのバリアフリー点検についても言えることだが、個人の意見をどこまで普遍化できるかということではないだろうか。単なる個人的感想に留まらない提言にしていくため「やさしいまちづくりの会」としてのノウハウの蓄積が求められている。