企業の社会的責任=CSRについて

 「トリプル・ボトム・ライン」という言葉があります。経済と環境と社会という3つの分野全てに責任を果たしていかないと、企業としてのサスティナビリティ(持続可能性)が保証されない、という考え方です。持続可能性という言葉は、特に、地球規模の環境問題に対しては、現在の発展が将来に影響することのないという観点から使われています。
 
 企業が「持続可能な社会」を構築する重要な鍵を握っているという認識が、ここ10年の間に生まれてきたとともに、自主的・義務的にどのような措置をとるかという企業の役割が期待されるようになってきています。
 
 従来、企業が果たすべき責任とされてきたのは
「消費者に対しては、品質の良い製品を安く提供する」
「従業員に対しては、安定した充分な給与を支払う」
「株主に対しては、利益を上げ、確実に配当する」
「国と地域に対しては税金を納め雇用の機会を創出する」
といったことでした。
 しかし、従来の責任に加え、持続可能な社会の高知のため構築のための企業の社会的責任(CSR /Corporate Social Responsibility)として、
「人々の健康や安全を保障する」
「社会の改善や生活の向上に貢献する」
「環境保全に努める」
「不正を行なわず情報を開示する」
「差別のない安全・衛生的な労働環境を提供する」
といったことを求めるようになってきています。

 また、こうした課題に積極的に取り組むことが「競争力につながる」という認識がなされるようになってきています。
一方で、会社が行動するときの相手(ステークホルダー=利害関係者とも言います)として、かつては、顧客、取引先が意識されていましたが、現在では、工場が操業しているところ、その近所のコミュニティ、会社で働く従業員、消費者、地域、NPO、求職者、調達先、行政、投資家など、その範囲が広がりつつあります。
 これらの全てを企業の利害関係者として、経済と環境と社会の分野からの責任を果たさなければ、企業の持続性は保たれない時代になっているということです。
 
 また、一般に、投資行動は、配当やキャピタルゲインに期待してなされるものでしたが、欧米では、このCSRにとりくんでいるかどうかが投資の指標のひとつになっています。アメリカでは、社会的責任を負う企業に対しての投資が、全投資額の11%に達しています。日本ではグリーンファンドということばになじみがあるかもしれません。
 企業は、「企業の社会的責任報告書」を公表することで、利害関係者(ステークホルダー)から社会的責任を果たしていることの理解を得ようとする動きを活発化させています。
 現在、「企業の社会的責任報告書」を出している日本の企業は、900に上ります。
 その約半数の企業は、世界で最も信頼されているといわれているGRIの作成するガイドラインを参考に「社会的責任報告書」を作成しているそうです。