大田区に住んでいたら隣がいつお墓になってもおかしくない!?

現在、第一種住宅専用地である南馬込3丁目28番9で大規模墓地の建設計画が持ち上がっています。
 
 人口が集中した都市部の高齢化は、結果、都市部における墓地需要を高め、あちこちで墓地建設が進んでいます。しばらくは、この状況が続くでしょう。

 墓地自体は、必要な施設ですが、現在の法や大田区の規則は、保健衛生の所管であり、衛生上の要件さえ満たせば建設を許可するしくみになっています。
 
 都内では、練馬区や国分寺市が、また、川崎市、千葉市なども墓地建設を単なる衛生面だけではなく、大規模施設としてとらえ、住環境に及ぼす影響の視点から規制をかけています。

 今日は、大田区南馬込の良好な住宅地に持ちあがった墓地建設からみえる大田区の課題について考えます。

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 現在、第一種住宅専用地である南馬込三丁目28番9で大規模墓地の建設計画が持ち上がり、住民による反対運動が始まっています。

 この墓地建設にかかわり、第三回定例会において、墓地建設の白紙撤回を求める陳情が、墓地の許可を行う保健所を所管する保険福祉委員会に提出されました。

 陳情に記されている住民のみなさんの建設反対理由は下記のとおりです。
 
①墓地に接する道路幅が3.75mしかなく、また、建設現場から通り抜けできる道幅は、更に狭い2.4mしかない。周辺には高齢者が多く利用する施設がある。そのため、工事車両通行時に通学・通行に危険であり支障をきたすこと。

②墓地建設による精神的苦痛

③墓地経営は、地方公共団体(市町村など)や宗教法人、公益法人等でなければならないが、当該墓地建設代表者である宗教法人は、檀家もなく、宗教活動としての墓地ではなく、収益をあげるための墓地建設としか考えられないこと。

 事業者の書類から墓地の規模などは、下記の通りです。

 開発面積 846.89㎡
 墓域面積 547.40㎡
 墳墓数  400区画
 墳墓面積 201.24㎡
 緑地面積 83㎡(墓域部分の15%)

    
 現在、大田区では墓地建設の許可は、保健所が担っています。
 保健所では、許可にあたり
①事前相談を求めるとともに
②墓地の名称や面積などの規模を表示した標識の設置
③墓地に隣接する住民への説明会開催
④隣接住民から求めが有った場合、住民との事前協議とその報告
などを求めています。
 しかし、説明会は、資料送付のみで済ますことができ、また、事前協議も意見の一致が見られなければ理由を保健所に通知すれば、済まされると解釈することも可能な内容になっています。
 
 東京都の条例に基づき、提出しなければならない書類はありますが、大田区の具体的な許可要件の主なものとしては
①経営主体(宗教法人・地方公共団体・公益法人または公益財団法人)
②土地が自己所有であること(権利設定されていない)
③境界に障壁または低木の垣根を設けること
④墓地内に1m以上の通路を設けること
⑤適正な下水処理
⑥供花・供物などの衛生的な管理
⑦給水・便所の設置
⑧管理事務所の設置
⑨区画数の2%程度の駐車場
⑩墓地敷地の15%以上の緑地の配置

 墓地の許可基準が、衛生的に安全に管理されることを主眼に許おかれていることがわかります。

 一方で、この10年間に大田区が許可した墓地の実態を調査するために、所管部局にデータを出していただきました。
 依頼した内容に不備があったため、今の段階で十分な分析ができませんが、98件の申請があり、決してすくなくないことがわかります。
  
 所在地などから、本門寺など寺の多い地域での建設・増設に留まらない、いわゆる、陳情者が指摘する、「収益をあげるための」公益性に欠けると思われる墓地建設も少なくないように見受けられます。
 陳情者の指摘する、住宅地にある日とつぜん墓地が建設されてしまったケースもあるようです。

 しかし、現在の大田区は、墓地建設に係る規制が上記の内容にとどまるため、価格と場所が適当な土地が入手できれば、誰でも(宗教法人はお金で買うことができるようになっている)どにでもお墓を建設できる状況です。

 しかし、それでは、土地は、購入したら、どのように利用しても良いと言えるでしょうか。

 確かに、現在の法律や大田区の制度のみでは、墓地建設を規制するものは不十分です。

 しかし、高度成長期に、日照権という概念が生まれ、その後、騒音、風害、景観、圧迫感といった新しい概念が育っていくなかで、その地域をどのようなまちにしていくかを地域が決められる方向に進んでいるのが、現在のまちづくりの大きな流れです。

 京都市は、まちの一定の地点から大文字焼の眺望を阻害する建物への規制を行うとともに、建物のデザインや色彩の統一を図る条例を制定しました。
 真鶴市では、真鶴らしさを「美の基準」として建築物などの基準を定めるなど、まちの歴史文化にも通じる規制を行っています。

 お墓についても、都内では練馬区や国分寺市、千葉市や川崎市が墓地建設において、規制をかけています。

 委員会において、調査を依頼したところ、特に、川崎市の墓地建設にかかわる規制は、開発許可の要件に組み込み、協議が整わないと保健所の許可が下りないしくみにしてあるため、実効性のある制度になっているという報告をいただいています。

 現状の大田区の墓地建設は、ルールの無い、いわば、事業者まかせのまちづくりにつながり、墓地経営者の進出を更に安易にうながすことになりかねません。

 そうした意味では、地域の住環境を守る為に、陳情行動に立ち上がった、南馬込の住民運動は、大田区の新しい「住民主導のまちづくり」の流れのひとつと言える大切なことです。

 大田区のまちづくり施策による墓地建設規制が早急にもとめられます。 


なかのひと