このタイトルを見て、おっ!と思われた方は、大田区議会にかなり詳しい方でしょう。
通常は行政(区役所)から出される報告について質問したり意見したりするにとどまることが多いのですが、今回は、議員自ら提案し、その課題について議員間で討議したからです。
議員提出条例が出されることもありましたが、多くは、一部の議員で事前に話し合うものの、公式の場で、条例提案に至る問題意識や背景、それに対する他の委員の意見等は示されないまま、賛否が問われ(結果として)否決されていくばかりです。
本来の議会のあるべき姿であり、当たり前のことですが、「議会改革」のテーマとしても有りあげられる議員間討議の必要性を改めて実感しました。
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大田区は、来週から始まる、第四回定例会に「まちづくり条例」の改正を予定しています。
既に、素案が議会に示されていますが、その内容について、私は、十分なものであるとは思っていません。
都市・環境委員会においても、そうした部分について指摘をしてきたわけですが、意見するなら、提案をという他の委員からのすすめもあり、条例提案要件などというわくにはまらず、奈須私案ということで、委員会に提出し、委員間で討議しました。
私が、今の大田区に必要だと思っている「まちづくり条例」の改正は、下記の、「大規模土地取引の事前届け出」です。
通常、開発事業者は、土地取り引き前の段階で、土地開発にかかわる計画を自治体に持ち込み、その計画の実現性について自治体に相談をしています。
建ぺい率、容積率、用途、あるいは、自治体独自の規制など、どの程度の開発が可能かを知った上で、土地の値段から開発による利益を見込むわけです。
地域のまちなみにふさわしくない開発事業が地域住民との間で紛争になることがありますが、土地取引前の段階で、自治体は、どのような開発事業がおこなわれるのかあらかじめ知っていると言えます。
そこで、こうした事前の問い合わせをまちづくりに活用しようというのが、今回私が提案している事前届け出制です。
と言っても、これは、私が考えたわけではなく、既に、国分寺市や府中市で取り入れていることです。
国分寺市や府中市では、こうした事前相談のうち一定規模以上を、まちづくり条例により届け出制にして、都市計画マスタープランなどの地域のまちづくりの方針と照らし合わせて、ふさわしいかどうかの助言ができるようにしているのです。
都市計画マスタープラン、基本構想ともに、自治体の憲法と言われながら形骸化しているこれらの計画を実効性あるものにすることを期待している条例と言えます。
委員会討議においては、まちづくりにおける、都市計画マスタープランや基本構想と実際のまちづくりのかい離より、土地取得した事業者の開発計画を阻害することになるのではないかという、経済論理からの意見が多く、大田区の議員のまちづくりに対する基本的な姿勢の違いが明らかになりました。
土地を取得すれば、所有者は、建築基準法など法令を守りさえすれば何をしても良いとなれば、マスタープランも基本構想も、あるいは、昨今大田区が、数多く策定しているグランドデザインなどまちづくり計画は必要ありません。
作られたこれらプラン、計画に示されているまちに向け、自治体がどのように政策づくりをするかが、議会や行政には求められているのです。
以下、私の条例私案です。
(大規模土地取引行為の届け出)
第 ① 条
5,000平方メートル以上の土地に関する所有権、地上権若しくは 賃借権又はこれらの権利の取得を目的とする権利(以下「土地に関する権利」 という。)の移転又は設定(対価を得て行われる移転又は設定に限る。)を行う
契約(予約を含む。以下「大規模土地取引行為」という。)を締結して土地に関 する権利を移転しようとする者は、大規模土地取引行為の日の6月前までに、規則で定めるところにより、その内容を区長に届け出なければならない。
(大規模土地取引行為の届出に対する助言)
第 ② 条
区長は、前条の規定による届出があった場合は、条例がし示すまちづくりの基本に照らし、当該届出に係る事項について助言を行うことができる。
2 区長は、前項の助言を行おうとする場合は、大田区まちづくり認定審査会の意見を聴かなければならない。
*改正に伴う、条文の変更など詳細は省略しています。