練馬清掃工場の事故

 現在、23区では、これまで燃えないごみとして分別回収していたプラスチック類の焼却の方針をかかげ、その準備に入っています。大田区でも、9月より、3ヶ所のモデル地域を定め、実証実験を行う予定です。

 大田区でも。また、23区の集めたごみを焼却・埋め立てる一部事務組合においても、廃プラスチックの焼却の理由を、埋め立て処分場の延命であるとしています。

 ごみの処理について考える際には、どこまでを官で行い、民が行うべきことは何なのかを明確にする視点が必要です。
 そして、その際に欠かせないのは、ごみを作らないしくみを社会全体で作り上げるという視点です。

 現在の廃プラスチックの焼却は、排出されるごみを、現在の仕組みのまま、現在より安く処理するためにどうすればよいかという一つの方法でしかありません。
 例えば、横浜市のように、リサイクルすべきものは、リサイクルすることにより、清掃工場で焼却処分するごみ量を削減し、清掃工場の建て替え費用やメンテナンス費用を削減することにより、清掃事業全体にかかる費用を削減している自治体もあります。
 
 今年改正になった容器包装リサイクル法には、事業者の責任が明確に示されず、自治体負担でのごみ処理という路線を大きく変えることは出来ませんでした。
 事業者は、事業者に負担させようとしている費用が果たして適正な金額であるのか。明細の無い請求書への支払いはできない。ということをその理由にしています。

 今後のあるべき清掃事業のスキームは、ごみにかかる費用のコスト計算=廃棄物会計の精度を上げることで、民が負担すべき費用と官が負担すべき費用を明確化すること。そして、民が負担すべき費用が明確になった時、民がごみ処理費用にかかるコスト削減のために、製造段階からの排出抑制やリサイクルしやすい製品を作ると言うインセンティブを働かせることだと考えます。
 
 先日の区長との懇談の際に、廃プラスチック焼却方針を採用するにあたっては、本来は、様々なケースを想定し、それぞれの環境影響・健康への被害・コスト計算・・・などを比較検討すべきではないかと申し上げました。しかし、今回の方針決定の際には
、全くそうしたことをしていないと区長は答えています。

 経営的な視点に立脚した成果重視の行財政運営と、限りある資源の有効配分を現在の自治体は求められています。その実現のためには、市民への説明責任と職員の意識改革などが不可欠であり具体的な方策として、NPM(New Public Management:新公共経営)の重要性〔参照/NPMと政策評価 熊坂伸子〈ぎょうせい〉〕
が叫ばれていながら、現状維持の旧態依然とした政策判断には失望させられます。
 
 一方で、廃プラスチックの焼却による安全性の確保や健康への被害については、これまであまり申し上げてきませんでした。

 8日11日付「朝日新聞」において、練馬清掃工場の異常事態についての報道がなされました。
 
 廃棄物処理法には、清掃工場の管理運営基準として
  ①炉内燃焼ガス温度を800℃以上に保つこと
  ②排ガス中CO濃度を100ppm以下に抑えること
 が定められていますが、この基準が守られない事態がしばしば発生しているというものです。

 しかし、練馬工場を管理する清掃一部事務組合では、練馬工場において異常事態が続いてきたことを、練馬区や周辺地域住民に対してまったく情報提供してきませんでした。

 しかも、未だに、炉の温度が何故下がったのかについての原因も明らかになっていません。

 異常事態発生の原因が解明され、十分な対策を講じると共に、運営状況や事故の状況について情報公開をすることが求められます。

 こうした事故が発生しても、すみやかに情報を公開しない現状の清掃工場運営の姿勢のまま、安易にプラスチック焼却を行うことは、安全性の確保の観点からも大きな不安を抱えています。