〜第15回とことん討論会〜

 23区のごみ問題について考えるとことん討論会に今年も参加しました。
 今年は、ゴミ戦争で有名な江東区で開催。 
基調講演は(独)国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター 森口祐一センター長による「循環型社会と3R〜リサイクルからリデュース〜・リユースへ」。
 その後の分科会において、私は第三分科会を選んだのですが葉山市のゼロウエイストの取り組みについてと戸田市の生ごみリサイクルに取り組んだ市民に花の苗をプレゼントする取り組み、そして、千葉大学の倉坂教授による「サービサイジング」という新しい発想についてうかがいました。

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 今年の基調講演は、ゴミ処理そのものの在り方から一歩進めた大量生産・大量消費・大量廃棄という現在の経済社会のありかたがゴミ問題の根本にあり、また同時に地球温暖化の原因であるとの認識のうえに、今後何をすべきなのかを示してくださいました。
 
 1976年以降のゴミ量推移から、ゴミの量が、経済状況に大きく左右されていること、生活系ごみと事業系ごみにわけてみると、全体に占める生活系ごみの排出割合が減り、事業系が増えていることからも、ゴミ削減は法律や個人の努力も必要ですが、経済活動のしくみにゴミ削減の力をどのように反映させるかという政策的な課題のあることがわかります。
 また、原材料が経済活動により加工され、家庭で消費され、自治体の収集運搬ルートにのってリサイクル・焼却・埋め立て処分されていく過程を示した京都府立大学の山川准教授のフロー図を示しながら、私たちがリデュースすべきは、自治体負担による収集運搬量であること、そしてその中でも廃プラスチック(特に容器包装プラスチック)の占める容積が大きく課題であることを指摘されました。
 
 特に23区は、他自治体とは異なるゴミ処理のしくみ、収集・運搬は区、焼却は「23区清掃一部事務組合」埋め立ては東京都という三層構造にあるため、独自施策をとりにくいうえに、自治体の取り組みが即ゴミ処理コストに反映しにくいという特殊事情があること。
 結果として、焼却を減らし、容器包装プラスチックのリサイクルに取り組んでも、即焼却コスト削減にはつながらず、リサイクル費用だけがかさむ結果になるため、23区中9区はまだ取り組んでいないなどゴミ削減は進んでいません。
 
 川下で排出されるゴミをリサイクルすることによってできるのは、ゴミになることの延命だけであり、限界があります。川上の生産をどうするか、つまり、3R(リデュース・リユース・リサイクル)ではなく、まずは2R(リデュース・リユース)をどうするのかという問題意識です。
 これを経済活動のしくみに定着させようとしているのが、経済産業省が平成17年から実証事業を進めている「サービサイジング」という考え方です。

 法制化を目指していらっしゃる千葉大学の倉阪先生から説明を受けました。

 広告代理店の販売戦略に
1. もっと使わせろ
2. 捨てさせろ
3. 無駄使いさせろ
4. 季節を忘れさせろ
5. 贈り物をさせろ
6. 組み合わせで買わせろ
7. きっかけを投じろ
8. 流行遅れにさせろ
9. 気安く買わせろ
10. 混乱をつくり出せ
の10か条が有ったそうです。

 これが、まさに、大量生産・大量消費であり、結果として大量廃棄につながっています。

 この発想の根底にあるは、消費は所有権の移転であるという考え方ですが、これまで製品として提供していたものをサービスの提供としてとらえるのが「サービサイジング」です。

 使い捨てカメラを思い出していただくと分かりやすいと思います。
 私たちは使い捨てカメラを買いますが、最終的に私たちの手元に残るのは、カメラ本体ではなく、カメラを使って撮った写真です。
 他にも、洗濯機を無料で貸し出し、洗濯機の利用回数に応じて料金を支払う仕組み(利用回数はネットを介して電力会社が把握し代行請求:エレクトロラックス社)や顧客の蛍光ランプの所有権をサービス提供会社に移転しランプが切れたら交換。交換数に応じ、あるいは、月間定額料金を支払う(パナソニック電工)。化学ぞうきんのレンタル。などの例があります。

 「サービサイジング」は
1.生産者による製品廃棄物処理費用の負担制度が導入されること
2.廃棄物処理引当金制度が導入されること
 =法人課税標準から控除できるようにすること
3.倒産リスクを回避すること
4.費用負担を「前払い処理券」発行などにより明示すること
を前提とすれば、

1.生産者は製品が戻ってくることを前提とした製品設計を行うことができること。
2.モノの所有権を移転させずにモノから得られるサービスのみを消費者に提供するビジネススタイルが一般化すれば、モノの長寿命設計と循環利用が本格化すること。
3.これにより、より少ない資源エネルギーで、より多くのサービスを提供することに真に知恵を絞ることができる経済社会が実現すること。

 などが期待できるそうです。

 これまで、私たちは、拡大生産者責任(EPR)の法制化に取り組んできましたが、このEPRをさらに進めた「サービサイジング」という発想に目からウロコが落ちたような衝撃を感じました。

 大田区における基本構想にある「良好な環境と経済活動が両立する持続可能なまち」は、私が提案した文言でもありますが、実際問題良好な環境と経済活動を両立させることは可能なのかと常に自問してきました。
 EPRを進めた「サービサイジング」の法制化は容易ではないと思いますが、実現を切望しています。

  
なかのひと