大田区議会の請願・陳情提出の押印省略が思想信条のマイナンバーへの紐づけになる心配

大田区議会が、規則を変えて、陳情請願提出の際の押印を省略できるようにしました。

それだけ聞くと、簡便になったように感じますが、内閣府のガイドラインに、本人確認を別の方法でするようになっていて、免許証やマイナンバーが挙げられていました。

内閣府のHPで、押印省略が経済界からの規制改革の流れでの要請で進められてきたことも知りました。

大田区議会の規則に、本人確認を求めないと書き込まれませんでしたので、たった一人でしたが、反対しました。

マイナンバーで、思想信条まで紐づけられる可能性があり、それを担保するものが無かったからです。

実際、改正後のHPには、本人確認不要の文言はありません。
討論の際に、本人確認しないとした答弁が担保されるかわからない状況です。

みなさまは、どう考えますか。

法令(ルール)が変わったその時から社会が変わるわけではありません。
ですから、私は、法令改正が将来に及ぼす影響を考えて、賛否の判断をしています。

省庁再編で、社会保障制度審議会が廃止され、経済財政諮問会議がそれに代わりこの国は、国民の社会保障を基軸に動く制度から、GDPを増やし、投資家利益確保のための経済を進める制度に変わりました。

でも、その影響が国民生活にあらわれるのは、法律で省庁再編が行われた時ではなく、今に至るまで、時間をかけ、その影響が少しづつ表れています。

以下、押印省略の規則を変える議案についての、フェアな民主主義 奈須りえの討論です。


 

フェアな民主主義 奈須りえです。

委員会提出議案第4号議案大田区議会会議規則の一部を改正する規則について、反対の立場から討論いたします。

 

この規則の改正により、これまで陳情請願提出者に求めていた押印を省略することが可能になります。

それでは、押印省略は、何故可能になったのでしょう。

押印省略は、

経済財政運営と改革の基本方針2020(令和2年7月17日閣議決定)」及び「規則改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)」に基づき規制改革推進会議が提示する基準に照らして、順次必要な検討を行い、法令告示、通達等の改正を行うこととされています。

これらから「経済財政運営」「規制改革」など、押印省略が、経済の視点からの要請であることがわかります。

実際、閣議決定の直前の2020年7月8日に内閣府情報通信技術政策担当大臣、木瀬改革担当大臣、規制改革推進会議議長と、経団連、経済同友会、商工会議所、新経済連名の4経済団体が

・新型コロナの感染拡大には一定の歯止めがかかっているが、感染拡大防止、予防のため、新しい生活様式への移行が求められる。

 また、新しい生活様式だけでなく、ビジネス様式を定着させデジタル化を一気呵成に実現する必要ああるとして、「書面、押印、対面」を原則として制度・慣行・意識を転換して、新しいビジネス様式を再構築させるべき、

という、

「書面、押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識の 抜本的見直しに向けた共同宣言 ~デジタル技術の積極活用による行政手続・ビジネス様式の再構築

を出していて、

 

これまでの日本の商慣行、生活様式をやめて、言ってみれば、ハンコの無い例えば、欧米型のビジネス生活様式に変えようと言っているように読めます。

 

私は、この間の特に2000年以降行われてきた規制改革、構造改革などにより国内市場に保たれていた秩序をこわす形で外国投資が入り込んだことで、国内経済が衰退し、アクサが拡大してきた現状を目の当たりにしてきましたので、そうした規制改革や構造改革の流れの中で、押印が省略されることに、安易に同意することができません。

しかも、押印だけでなく、書面、対面と言った約束、契約、信頼などの根幹等言うべき大切な基本をやめましょうという流れの一つにこの押印が入っているのでなおさらに懐疑的になります。

地域社会が希薄化し、それに伴い、押印の持つ意味合いが薄れてきたとしても、だから押印をなくすことに主眼を置くのではなく、地域社会を希薄化させてきた要因はどこにあり、人と人との関係性を取り戻すために、私たちが無いをすべきか考えるべきだと思います。

書面、押印、対面は、グローバル資本が日本に進出してより効率的に利益を獲得するために、邪魔な存在かもしれませんが、私たちがそれらを手放すことで失う物やことは計り知れないと思います。

投資家サイドからの要請だけでなく、もっと広く国民レベルで議論すべきです。

しかも、押印をなくすと言っても、押印が全く意味の無いものではなく、一定の役割を果たしてきたのも事実です。

実際押印省略でハンコ無しで手続きできるようになるわけではなく、「地方公共団体における押印見直しマニュアル」には、押印を求める3つの趣旨として、

・本人確認、

・文書作成の真意確認、

・文書内容の真正性の担保

とあり、押印省略は押印を全く無くすという事ではなく、

本人確認の手法は多数存在するから、他の代替手法があれば押印廃止をしても良いと言っています。

そして、代替手段の事例には

・オンライン申請で認証システムやID、パスワードを利用する。

・メール申請で、利用アドレスを登録する、

職員場合イントラネットを利用する、

・窓口・郵送の場合、本人確認書類の写しの受領とあり(運転免許証、マイナンバーカードの写しなど)があげられています。

 

これまでの大田区の請願陳情提出は、押印ですんでいた、請願陳情の提出が、これまでより、厳格化することになります。

しかも、大田区議会は、郵送もメールでの受付もの認めていませんから、押印省略によりしえガンの門戸が広がるというより狭まることになるのではないでしょうか。

 

いま、区にも大田区もマイナポイントを付与するなどして積極的にマイナンバーカード取得を進めています。

マイナンバーカードの取得率が高まり、将来的に請願陳情の提出の場面で、マイナンバーカードの提示を求めることになりはしないでしょうか。マイナンバーカードの提示無しに請願陳情を出せない事にはならないでしょうか。

そうなると請願陳情などの個人の政治的思想や主張まで番号で紐づけされるようになり、心配です。

2項で法文や法人という言葉から、外国法人に門戸を広げようとしているようにも読めますが、各省庁の文書に英文が増えていることと併せて考えると、グローバル化への対応なのだと思います。

世界中の人と仲良く、のスローガンは同意しますが、こうした対症療法的なグローバル化御対応ではなく、グローバル化による区民生活への影響について本質的ン議論をすべきだと思います。

区議会は、区民や関係者の声をきくために存在します。

押印廃止とそれに伴い発生する本人確認が、提出者の提出の意思を少しでも阻害しては決してならないと思います。

以上のことから押印廃止が区民に開かれた議会になるとは思えず、議会改革を後退させる恐れもあり、反対です。