自治体の決算の意味:明日から大田区議会決算委員会が始まります。

第三回定例会が始まっています。

今回の議会では、議案審議とともに、平成23年度の決算についての認定を行います。
予算は、場合によっては「否決」という非常に重い判断を下すことの可能な議会ですが、それと比較して、議会は決算に対し予算ほどの権限を持ちません。
 
自治体の首長は、決算を認めるか認めないかを議会に聞きますが、議会が認めても認めなくても決算は有効に成立します。
 
 
首長(=区長)は、監査委員の意見のついた決算を議会にかければ、その時点で決算は成立するというのが地方自治法上の解釈です。
 
例えば、昨今の大田区議会の予算は、その後の補正予算で、当初予算に盛り込むべき内容を加えるなど、必ずしも自治体財政の実態を反映していない部分も多く、決算こそが、自治体の懐具合を判断するにふさわしいと感じています。 しかし、肝心の決算は、出せば認定されるというのが解釈ですから、議会の権限のほとんど及ばないところにあるというのが実態です。
 
しかも、民間企業であれば、とっくに株主総会も終わっているこの時期に決算委員会が行われるうえ、議会に送付される資料は、単年度(=今年なら平成23年度)にいくら使ったかという数字がほとんどで、分析に必要なデータは議員個人が数字を抽出して組み立てなければなりません。
 
特に、財政健全化法が施行されてからは、
実質赤字比率
連結実質赤字比率
実質公債費比率
将来負担比率
の4つの指標が示されるため、その数字に一喜一憂することになりますが、これだけに注目して自治地体財政を分析できるわけではありません。
一般に市町村においては、経常収支比率70~80%が好ましいとされていますが、特に23区の場合財政調整制度により東京都が上下水道や消防ほかの事務を担っているため、分母・分子が異なっていて、他自治体と単純比較もできません。
経常収支が70%であったら、残り30%を自治体が「好き」に使えるということですが、公共サービスが十分にいきわたっている状況での30%なら良いですが、本来提供すべき公共サービスをコスト削減して、ねん出し、結局使ったのがコレデハという内容なら、考えなおさなければならないでしょう。 住民合意のうえ、安定した住民サービスを提供できているのであれば、必ずしも経常収支比率を70%~80%確保すべきにはならないのではないでしょうか。
 
私は、昨年決算では、23区平均の経常収支比率の変化に比べて大田区の経常収支比率が大幅に増えた=悪化したことから、「経常収支比率」を財政の指標として、23区間の比較を行い、大田区の経常収支比率の急激な悪化が、大田区が説明した高齢化と生活保護世帯の増加だけでないことを指摘しました。
明日から始まる決算委員会において、今年もさらに深い財政分析をしながら、大田区の持続可能な財政運営について十分な審議に備えたいと思います。