【過剰な地方自治体公共インフラと消費税増税】消費税10%増税に伴い、大田区がなすべきこと
消費税10%増税は、大田区で試算すれば、96億円の増収です。
自治体公共施設は、既に、良好な維持管理が出来ない状況に陥っています。
社会保障に使えると総務大臣が全国自治体に示したフレームは、自治体負担4割を前提とした社会保障4分野への参考事例にすぎず、現時点で財源不足(何に使うかは別にしても)に陥っている自治体が、新たな4割負担をおってまで、社会保障分野への税金投入を行うことは考えにくい状況です。
消費税10%増税により、大田区の税収増となるであろうこの96億円は何に使うべきでしょうか。
消費税10%増税法案が可決しました。
私は現状での消費税増税には反対ですが、今日は、消費税増税に伴い求められている大田区の役割について質問しました。
日本の消費税は欧米に比べ、税率は低いのですが、これを財務省の資料の税全体の構成比でみると、日本は29.3%。アメリカ23.5%、イギリス36.2(20)、ドイツ46.5(19)、スウェーデン37.4(25)、フランス39.3(19.6)で、5%の割に国税に占める割合が他国に比べ圧倒的に高いことが分かります。
政府は、財源の不足を消費税に求めた理由を「広く薄く負担し公平で景気による変動が少ない安定的財源だから」と説明していますが、そのこと自体が、経済活動でいう固定費に課税されていることを意味しています。
課税率5%の消費税が税収の3割を占めているのは、他国と比べ食品や医薬品など課税対象が広いからだと言われているのです。消費税が2倍になれば、家計の固定費の一つであるエンゲル係数の高い世帯ほど消費税の影響が大きくなります。
一般に、エンゲル係数が、高いほど生活水準が低いと言われていますから、日本の消費税増税の家計への影響は決して少なく無いと言えます。
区政をめぐる課題は、高齢化、少子化による労働人口の減少、人口減少に伴う経済規模の縮小と税収減、さらに世界規模の金融・経済のグローバル化等に呼応した雇用確保です。これらの社会状況とそれに伴う区民生活の変化に対して、大田区の施策は対応できているでしょうか。消費税が10%になった時にも安定的な住民サービスを提供するとともに区民生活を守ることができるでしょうか。
平成23年度決算額でみる大田区の地方消費税交付額は約80億円で、消費税が10%に増税されると約176億になると試算できますが、これは、いったい何に使われるのでしょうか。
たとえば、公共施設の老朽化による整備需要が増すなか、大田区の施設整備計画は今後10年間、施設の在り方を見直しせずに大田区の公共建築物549施設、延べ床面積約124万㎡、区道総延長約791㎞、公園・緑地280万㎡、駐輪場約70カ所、公衆便所74ヶ所ほか公園トイレなどをただ漫然と整備するもので長期的な維持管理という視点にたったものではありません。
このことは、大田区の学校施設が57ありながら、年に2校ペースでなんとか築75年以内に改築できると示されていた施設整備計画について、財政難を理由に1校に変更してしまったことや、平成23年度の区道改良実績9,842㎡のペースで今後改良を進めれば区道総延長約791㎞を全て改良するのに幅4mで換算しても320年以上かかる計算(791㎞×4m×1,000m÷9,842㎡/年≒320年)になることなどからもわかります。
区道は、必ずしも大田区が整備しなくても、ガス・上下水道などの工事に合わせ、各事業者に路面の改良ができると言うかも知れませんが、ガス・上下水道などの工事は、必ずしも維持管理とタイミングも箇所も一致するとは限りません。 試算している区道4mは最低の幅員で、そこから320年という数字が出ること自体、区道全ての良好な維持管理とは程遠い状況であることがわかります。
しかも、今回の補正予算で道路改修費を計上していますが、決算が確定し余裕ができれば計上するということが、大田区の施設整備の無計画性を示しています。
すでに公共施設は財政からみれば維持できない過剰な規模になっていると言わざるをえず、今後、抜本的な施設の在り方を考えなければ、施設の維持も財政の維持も不可能です。
だからと言って、消費税増税分は、今のままの施設更新需要を理由に帳尻を合わせるように、施設整備や土木工事に拡大投入されて良いでしょうか。
続く⇒