「寄付による投票条例」とは、自治体が提示したまちづくりのための複数の政策メニューに対して、市民が自らの望む政策メニューに寄付することで、政策の実現を図る仕組みのことです。
今回の大和市の条例がまさにこの「寄付による投票条例」にあたります。
NPO法人寄付市場創造協会のHPでの説明がわかりやすいので引用します。
民主主義社会においては、政治家を選挙を通して選んで、まちづくりの運営を任せます。通常の選挙は、投票用紙に政治家や政党の名前を書くことから、「票による投票」と言えます。
これに対して、この仕組みでは、寄付というマネーで複数ある政策メニューを選択することから、「票による投票」に因んで「寄付による投票」と名づけています。
この仕組みのメリットは、市民が政策メニューの中から寄付というマネーの提供を通じて、直接政策を選択できるところにあります。また、市民が政策メニューづくりやその資金調達である寄付集め(ドネーションファイナンス)に関わることができるため、市民が政策メニューの中から寄付というマネーの提供を通じて、直接政策を選択できる可能性をもっています。
例えば、市民が自分の町にこんな施設が欲しいと考えた時に、自治体にその施設作りを政策メニューのひとつに加えるよう要望をします。そして、政策メニューになれば、その事業費としての寄付が集まるように、寄付集めをすることができます。
いわば、まちづくりの“Do it yourself!“です。
もちろん、寄付が集まらないこともあるでしょう。寄付が集まらない時には、その政策にニーズがなかったことがわかるので、その際は政策メニューを統廃合すればいいだけのことです。何よりも、「無駄な公共事業」が発生しにくくなる可能性が高まります。
多様化する市民のニーズに対し、十分に対応しきれていない現在の公共サービスは、「協働」や「市民活動の活性化」というキーワードにより解決しようという試みがなされてきたわけですが、行政という仕組みの中で個別の課題に対して解決を図ることには限界があります。
税金によって根幹の公共サービスを拡充させるとともに、寄付において更なるサービスに広がりを持たせるこのしくみは、新たなる市民の社会貢献、あるいは、私が長い間取り組んでいるCSR=企業の社会的責任を更に一歩進めた個人の持つ社会的責任=SRという観点からも評価できる試みであると考えます。