今年の基調講演は、早稲田大学の広瀬立成先生。
Think Globally, Act locally.「地球規模で考え、足もとから行動する」
町田市のごみ問題に市民として活動してきた経験と、物理学者としての知識から「燃やして埋めるは大間違いだ!」と題し、なぜ燃やすことが間違いかをエントロピーの視点からお話くださいました。
温暖化の問題も、そして持続可能なという言葉も目前の事象をどのように解決するかに終始し、大切なことを避けているように感じます。
「省エネタイプの家電製品を購入すれば」「リサイクルすれば」「バイオエネルギーを使えば」「エアコンの設定温度を下げれば」温暖化はストップできるのでしょうか。地球環境は改善されるのでしょうか。
こうした、私たちの心の根底にある疑問・不安に答えてくれるのがエントロピー増大の法則かもしれません。
広瀬先生は、ドイツ・ボン大学総長で物理学者クラジウスの講演の言葉「いかなる財も、その時期に再生産されうる分量を超えて消費することはできない(中略)われわれが消費できる燃料は森林の成長によって新たに生産される分量だけであるはずだった」が非常に印象的だったといいます。
クラジウスの論理からは、省エネもリサイクルもバイオエネルギーも自然が再生してくれる(森林の成長によって新たに生産される分量の)範囲にとどめるための方策であることがわかります。
その根本にある、生産と消費(=経済活動)のあり方や都市生活について考えていかなければ、ごみの問題は解決しないということでしょう。
私たちが手にしてしまった便利な暮らしを今すぐに手放すことができない中で、どのような仕組みを作ることが地球環境改善につながるのか考えながら、ごみ処理について考えていく必要があります。
そのためのしくみの基本にしていかなければならないのが、拡大生産者責任(EPR)ではないでしょうか。容器包装リサイクル法は、リサイクルをすることではなく、排出抑制につなげるためにいかに整備をしていくかという視点で今後の改正も考えていかなければなりません、
また、私の参加した第三分科会では、現在の23区の清掃事業が、「収集運搬を担う区」と「焼却(中間処理)を行う東京23区清掃一部事務組合(東京清掃一組)」に分かれている問題。そして、一部事務組合というしくみそのものの問題について、東京自治問題研究所の安達智則さんから講演をしていただきました。
一部事務組合というしくみは、自治体として位置づけられていて、首長も議会も有します。財政規模も、現在全国に1527の一部事務組合が存在し、2兆2162億円というその財政規模を持っています。
一部事務組合という組織は、市民の税金を使って事業を行っている自治体でありながら、そこに市民や、住民の選挙で選ばれた代表が存在しない、そしてまた、市民参加の仕組みの無い、つまりは民主主義の無い仕組みです。
「代表なくして課税権なし」という言葉がありますが、市民の代表が存在しない一部事務組合といういうしくみは、できるだけ避けたほうが良いというのが安達さんの考えです。
現在のところ、一部事務組合で議論された区長会や助役会(2007年3月まで)の資料は、公表のしくみが無く、大田区においても、議会に報告されることもあれば、請求しても開示しないと言われることもあります。
一方で、東京清掃一組の議員である各区の議長は、区を代表し一組議会の議会・議長会に出席しているわけですから、都度その内容について報告し、透明性を高めるために働きかけて欲しいものです。