◆認定など◆
昨年の改正によって、介護保険を使えなくなってしまったといった声を聞くようになりました。
特に、これまで「要介護1」を取得できていた人も、認知症や問題行動が無いと「要介護1」の認定はおりないため、要支援2の認定になるという結果になっています。介護度は軽くなっていながら、ご本人の状況は変わっていない、或いは、悪くなっているといった事例も増えています。
予防介護に重点の置かれた変更であると言われますが、給付制限が利用者に大きな影響を与えています。
結果として、大田区でも、認定結果に不満を持つ区民による区分変更申請が増えています。
◆ヘルパー・看護士不足◆
一方で、ヘルパーを水増しして架空申請をしていたコムスンは、事業者として大いに問題ですが、一方で、介護現場に人が集まらないことについて私たちはもっと真剣に考えていかなければなりません。
最近は、特に、景気が回復傾向にあり、求人も好転しているため、仕事もハードであり、報酬も低い介護職に応募するする人は減っています。
募集しても人が集まらず、ヘルパーの確保が、多くの事業者で課題になっています。
東京は、住居費も高く、介護報酬に地域差を設けてはいるものの、それだけでは不十分であり、介護職の人手不足は更に深刻です。
福祉系大学を卒業しても福祉職に就く人は1/2以下であるという大学関係者もいます。
東京都では、都市加算を提案していますが、こうした方策をとらなければ、都市部でのヘルパー確保は更に厳しくなっていくでしょう。
また、国は、現在ある社会的入院ベッド数を38万床から15万床に減らすと言う目標を立てています。
胃ろうなどを行っている高齢者が、今後、病院から在宅へと変わっていくことが予想されますが、介護保険では食事を与えることができず、こうした医療ニーズを在宅で支えるしくみも十分ではありません。
病院の看護師の配置基準がかわり、訪問看護をしていた看護士が病院に戻っていく傾向があります。
そのため、在宅を支える看護師不足もまた、今後の大きな課題になってきます。
◆保険料軽減と担い手確保のしくみ
在宅の高齢者を支えるしくみは、今後ますます重要になっていきますが、2006年の改正により制度化された在宅を支えるすぐれたしくみである小規模多機能サービスも、採算的に厳しいこともあり、参入する事業者が少なく、大田区ではまた一施設と不十分です。
保険料の負担を軽くしながら、担い手を確保し、高齢者を支えるしくみとして、稲城市(介護支援ボランティア制度)は、特区を申請して、自治体の指定したボランティアをした市民の介護保険料を軽減するしくみをスタートさせようとしています。
厚生労働省が保険料軽減のしくみを認めたため、千代田区が既に参入を決める(介護保険サポーターポイント制度)など、追随する自治体が今後増えていくことが予想されます。