マンション紛争・建築紛争をまちづくりにつなげるために

大田区の場合

◆古都の景観を守る京都市の場合◆
 京都市は、2007年9月1日から「京都市新景観条例」を施行しています。
 この条例は、建物の高さ制限に加え、看板などを規制したり、建物の色彩・デザインなどの制限をすることによって古都のまちなみを守るための条例です。単なる高さ制限だけではなく、市民の意見をもとに定めたポイントからの五山送り火へ眺望確保などの規制も盛り込まれています。
 この条例を制定することで、京都市は、伝統的なまちなみの保全や再生を目指します

  ◆高さ制限をする目黒区・渋谷区の場合◆  
2002年の建築基準法改正による規制緩和によって、高い建物を建てやすくなった一方で、建設により、住環境を乱される地域住民との間での、環境や景観などをめぐる対立も多くなってきています。

 目黒区や渋谷区は、高層建築物による日照権の侵害、風害、強い圧迫感、景観の破壊などの住民の陳情(例えば→渋谷区の「住友不動産(仮称)渋谷鶯谷町計画についての陳情」の委員会付託の議事録) (例えば→目黒は委員会の議事録が無いので意見書)を受ける形で、高さ制限を設けた都市計画の準備を進めています。

 ◆国立マンション訴訟が残したもの◆
 国立市の大学通りに建設されたマンションをめぐる訴訟では、マンションは建設されてしまいましたが「景観」という概念は、私たちに広く浸透し「景観法」制定につながりました。

 ◆マンション紛争などを『私人』間の争いにとどめず、まちづくりの視点での対策を◆
 大田区池上8丁目の第一種住居地域にスーパーマーケットを建築する計画が明らかになり、良好な住環境が、乱されることから近隣の住民から、区議会に陳情が提出されました

 現在の法律や条令では、こうした地域のまちなみを乱すスーパーマーケットの進出を規制することができないと区は説明しますが、議会・行政が、何らかの方策を講じなければ、今後も同様の問題は後を絶たないでしょう。

 大田区議会では「マンション紛争など『私人』間で解決すべき内容を含むもの」を陳情として取り扱わないとしてきましたが、今回は、この池上のスーパーマーケット進出についての陳情を取りあげました。

 マンション紛争などを『私人』間で解決すべき内容とするのではなく、その背景にある建築基準法や都市計画法、そして、今回の池上8丁目のスーパーマーケット建設の事例では「大店立地法」などの問題点にまで広げ、住民に一番身近な自治体議会が審議・検討することが必要です。

 目黒区や渋谷区が、区民の陳情から高さ制限を設けるように、大田区議会や行政もまた、区民の声に耳をかたむけた結果を、大規模店舗の住み分けや地区計画など何らかのかたちにしていかなければならない時にきています。


なかのひと