大田区は、アスベスト土壌処理についての説明会を開催していなかったため、先日の7月26日に説明会を行っています。
土壌の入れ替え工事については、アスベスト処理に精通したコンサルタントのアドバイスを受けながら進めていますが、調査を行ったのは、10mメッシュ(一部5m)で、土中の様子は推測に過ぎないため、十分な対策が求められます。
特に、仮囲いをおこない、飛散防止のために内部の圧を下げるとしているかたまりの見つかった周辺は、どこまでを囲うのかの線引きがあいまいなうえ、土の上に果たして密閉した空間をつくることができるのかも気になるところです。
【土壌処理費用と汚染者負担の原則】 また、大田区では、土壌処理を、出張所用地部分と産業支援施設部分に分割し、建設業者と土壌処理業者に発注しようとしています。
この場合、再三指摘しているように、安全性確保のための十分な費用をアスベスト土壌処理に投入できる保証がなく、建設業者が再発注する業者が安全な工事を行うことができるのかという問題があります。
区は、出張所の建設を地域住民が急いでいるといいますが、現在も出張所はあり、なぜ土壌処理を一体的に行わないのか疑問が残ります。
また、区は、前所有者である大田区土地開発社から米山紙商事に損害賠償請求するといっていますが、何をもって損害額とするのでしょうか。
【大田区所有外のミヤデラ工場跡地の安全性】
どうして土の中からアスベストが見つかったのか大田区に聞いたところ、操業していた際に空気中に飛んでいたものが落ちたのだろうという説明でした。
空気中に飛散していたアスベストが、これほど大量に土の中から出てくるとするなら、操業時の状況はいったいどうだったのでしょうか。
区の説明通り、空気中のアスベストが土の中にあるとするなら、周辺の土地についても、また、残りのミヤデラの工場跡地についてもアスベストがあるのか無いのか、大田区は、調査させる必要があるのでは無いでしょうか。
過去に、周辺の土地の建物を建て替える際に、アスベストが出てきたため、ミヤデラに申し入れたという事例もあったようです。
アスベストは、土壌汚染対策法の対象物質ではないため、民間が自主的に調査しない限り土中のアスベストは特定されず、アスベストが土中にあれば、将来の解体や建て替えに時にアスベストが飛散する恐れがあります。
大田区が、この土地のアスベスト土壌汚染問題の原因究明を放置することは、今後の周辺の土地の対策を放置することにもつながるのです。
大田区は、そこが、アスベスト工場の跡地という理由でアスベストの土壌調査を行い、結果、アスベストが見つかって対処することになっていますので、残りのアスベスト工場跡地にアスベストが放置されている可能性が無いとは言い切れないでしょう。
新たな被害者を出さないためにも、今、大田区のとるべき対処が非常に重要になります。
■ヒアリング内容から抜粋■
昭和10年 大森工場操業開始
昭和18年ころ 最盛期(女工さん100人規模)
生産のピークは昭和24年〜34年ころ
昭和30年代 石綿を使ったプラント、船舶工事が主体
昭和45年 集塵機設置
昭和63年8月 石綿製品製造全面中止
昭和63年〜平成6年 ケイ酸カルシウム製品の製造や倉庫として使用
■操業内容■
・石綿板、石綿布、繊維を編んで棒状に
・95%白石綿5%茶石綿
・切断機使用
・敷地内にプールがありプールの水に浸して廃棄していた
プールは平成1年旧工場解体時に解体
・作業時に窓を開けることはあったかもしれない