省エネ対策として採用されたこの工事、区民の皆さんはどう考えますか?
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大田区役所の照明器具を省エネタイプに変えるという改修工事の議案がでました。
◆無駄な工事内容◆
金額は、1億8270万円。
随意契約により「大田電設協同組合」と契約しています。
LEDはそのうちのトイレやエレベーターホールなど一部で、他は、現在使用している蛍光灯を管だけでなく器具も含め取り換えるという工事です。
本庁舎より古い照明器具を使っている保育園や児童館・文化センターなど多くの施設があるにもかかわらず、ようやく10年が経過した本庁舎の照明器具をなぜいま取り替えなければならないのでしょうか。
細かい話ですが、1か所に3本使用している蛍光灯を2本にする工事を行いそれによって使用電力が40%削減になると説明を受けました。3本を2本にすれば電気使用量は減りますし、これまでつけていたカバーも外すそうですから、それにより照度がアップするということもあるでしょう。
◆効果も試算せず工事内容と相手方を決定◆
そこで、電気料金ベースでの効果について聞いたところ、試算していませんでした。
依頼にこたえ区が試算した結果は、料金ベースで5%の削減。
削減効果が高いようにみせる数字の提示のしかたも問題ですが、省エネ対策に際し、その費用削減効果さえ試算していなかったことにも大変驚きました。
使用していた蛍光灯は全て廃棄するそうです。なんともったいないことでしょうか。
1億8千万円かけて、年間電気料金削減が、区の試算で300万円程度。LEDは10年しかもちません。LED部分を除いた蛍光灯部分での効果はいったいどれほどでしょうか。
確かに、自然エネルギーや屋上緑化の導入など環境対策は、区民への啓発や民間事業者に先駆けた手本としての意義もあり、必ずしもコストだけでその成否を判断するべきではありません。
しかも、現在の景況から考えれば、区内業者に前倒しで公共工事を発注することは、有効な経済対策であり、大きな効果があるでしょう。
しかし、あまりにも、導入の場所(区役所)、方法(蛍光灯取り換え)、コストそして、次に指摘する手続き(随意契約)において問題の大きな工事です。
優先順位も効果も低い無駄な、一体なんのための照明改修工事なのでしょうか。区が提示した5%という数字もどこまで実効性のある数字であるかはわかりません。
◆合理的理由を示すことができない不明瞭な随意契約◆
一方で、区は、随意契約の理由を、大田区の6割の電設事業者が加盟する組合であるから。本庁舎移転以来、この組合を作っていただき発注している。この工事については、組合の構成員約20社のうち16社が工事受注を希望していると説明しています。
地方自治法施行令は随意契約できる範囲を規定しています。このケースは167条の2第1項2号「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当し随意契約を締結したものです。
9月の区政会館だよりの訴訟事件事例紹介が「随意契約を締結する前に」という記事を掲載しています。
この記事によれば、裁判所が随意契約を違法とする場合として
1.実態的に著しい不合理がある場合
2..契約時点における調査、検討を怠って漫然と随意契約により契約を締結し、その判断の合理性を全く示すことができない場合。
3.不公正な動機に基づくことが判明した場合
が示されています。
この契約において、随意契約締結前に十分な調査、検討を行っていると言えるでしょうか。
単に組合であれば随意契約を締結できるとは自治法から読みとれません。組合構成員への配分方法も提示されておらず、一部事業者の受注が組合によって隠れ蓑となる恐れも完全に否定することができません。
皆さんは、この1億8千万円の工事についてどのように考えますか?