1月22日に行われた市民集会において、これまでの調査から見えてきた論点を整理して発言しました。
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① 安全性の論点
「アスベスト」「PCB」「放射性物質」など有害物質の分別は十分行えるか
・建築リサイクル法で建材のリサイクルが義務付けられている。アスベストは分別しなければならないが、リサイクルされた砂利の中にアスベストが混入していることが問題になっている。通常の建材でさえ十分な分別ができずにいるのに、災害廃棄物の十分な分別が可能か⇒二本松市のマンション、大田区の体育館工事現場
破砕・焼却・埋め立ての過程での有害物質の拡散は無いか
・施設は放射能を想定していない
・バグフィルターの性能に問題はないか
・焼却灰の移送は安全か
・車両等の洗浄水はどう処理されるのか
埋め立て処分場からの拡散は無いのか
・放射性セシウムはすべて土壌に吸着するのか
・埋め立て処分場から排出される雨水に放射性物質が移行し、東京湾に排出されないか
測定方法は適正か
・焼却や下水処理に伴う影響を測定する方法が確立されているのか
安全基準の根拠は
・要は、クリアランスレベル以下であれば、放射性廃棄物ではなく、廃掃法の対象となる「廃棄物」として扱うということであり、逆にいえばそれ以上の放射能を帯びた廃棄物は、放射性廃棄物として原子炉等規制法による処理を必要とするということである。
ちなみに、原子力安全委員会はこのクリアランスレベルの設定について、「国際放射線防御委員会(ICRP)の勧告等に基づいて、クリアランスされたものによる線量のめやす値を、自然界の放射線レベルに比較して十分小さく、また、人の健康に対するリスクが無視できるものとして、10μSv/年」に設定しています」と説明している。逆にクリアランスレベル以上では、「人の健康に対するリスクは無視できない」可能性があるという見方もできる。
今から見れば、このクリアランスレベルの設定は、かなり厳格な数字ということはできるが、少なくとも、これを前提として、この程度しか放射能汚染の危険はないから原子力を利用するということで国民のコンセンサスを得てきたことだけは明白である。
そして事故前には、クリアランスレベル以上=セシウムで100Bq/kg以上(食品暫定安全基準の5分の1)の廃棄物は、放射性廃棄物として扱われ、下記の日本原燃のホームページにも書かれているように、低レベルであれ放射性廃棄物として、六ヶ所村に建設された低レベル放射性廃棄物埋設施設等に特別の体制で保存されてきた。
*「拡大する放射能汚染と法規制—穴だらけの制度の現状」より
早稲田大学出版部 日置雅晴(日弁連原子力PTメンバー)
② 制度からみた論点
地方分権
・清掃事業は基礎的自治体の事務でありながら国、都道府県が余力調査
民主主義
・例えば、東京23区では、一部事務組合の設立目的(=23区から排出される一般廃棄物の処理)外事業を補正予算計上せずに事業執行は可能か(東京23区清掃一部事務組合)
③ 財政からの論点
・t当たり処理単価 (例えば東京都では宮古市の廃棄物¥68,000/t)
*東京都提供資料より
処理単価¥68,000/t×57万t(岩手県広域処理全量)=387億6千万
〃 ×294万t(石巻地区:他の3つのブロックは検討中)
=1999億2千万
*環境省「災害廃棄物の広域処理」平成23年11月2日
・【*11月17日産経新聞】環境省によると、阪神大震災のがれき処理費用の総額は約3,246億円で、1トン当たりの処理単価は約2万2千円。これに対し岩手県の場合、当初の見通しは総額3千億円で、1トン当たりは阪神の3倍弱の6万3千円。宮城県は総額7,700億円で、1トン当たりは阪神の2倍超の約5万円と、両県とも阪神のコストを大幅に上回る見通し。放射性物質の付着が懸念される福島県は費用の概算も立っていない。
・災害廃棄物の費用は「災害復興税10.5兆円」でまかなわれる。(増税規模は所得税7.5兆円、住民税2.4兆円、法人税2.4兆円で、総額10.5兆円。「復興債」の財源として、国民も復興費用を負担することになる。所得税は、2013年1月から25年間、所得税率が2.1%引き上げられるほか、個人住民税は、2014年6月から10年間、年1,000円上乗せ)
④ 情報公開・説明責任の論点
・環境省は災害廃棄物処理の全体像を出していない
・災害廃棄物全量
岩手県 476万t ⇒11年
宮城県 1,569万t ⇒19年 各県において排出される一般廃棄物の量と比較
2,045万t(ほか福島県205万t)
*環境省「災害廃棄物の広域処理」平成23年11月2日
・岩手県担当者より電話でヒアリング1月20日/(
宮城県は全体像出していない)
埋め戻し(コンクリート) 90万t
(土砂) 70万t
再利用 (セメント) 80万t
(金属売却) 6万t
市町村焼却 38万t
民間処理 25万t
危険物 7万t
不明(たたみ) 1万t
広域処理 57万t
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合計 476万t
・(阪神・淡路大震災における災害廃棄物処理について
;兵庫県生活文化部環境局環境整備課より)
可燃物287万tについての各市・地域ごとの処理内訳。焼却が最も多く209万t、次いで埋め立てが多く67万t、再生はわずか11万tとなっている。焼却の内訳は、仮説焼却炉99万t、自己焼却炉の余力活用19万t、他市町への焼却委託10万t、民間業者への焼却委託25万t・・・
⑤ 番外編
・焼却余力、過剰な設備投資
受け入れ可能ということは、焼却施設にそれだけの余力があるということ
・自治体・三セク・廃棄物処理業者の災害特需的状況
処理費用総額約1兆700億円(産経新聞2011年11月17日より)は、自治体、自治体三セク、廃棄物処理業者、鉄道、トラック等運輸へ
・競争性の確保
結果として競争性のない形で民間廃棄物処理業者が契約