来年3月制定予定になっている東京都の食品安全条例は、実は、1989年に約55万筆の署名とともに提案をされていましたが、残念ながら都議会で否決となりました。結果、東京都の食品安全に関る予算は倍増し「食品安全確保対策にかかる基本指針」の策定といった具体的な成果をあげました。
しかし、以降、昨今に至るまで、食の安全をめぐり様々な問題(遺伝子組み換え食品、BSE、食品表示偽装事件、農薬、食品添加物など)が発生し、国も「食品安全基本法」を制定しましたが、
●予防原則(*1)に基づいた安全評価が不明確なこと
*1科学的な因果関係が不明確なものに対して、表示をしないのではなく、不明確である旨表示するなど積極的な措置を講じる
●リスクコミュニケーション(*2)や食品安全委員会における市民参加が保証されていない
*2化学物質による環境リスクに関する正確な情報を市民、産業、行政等のすべての者が共有しつつ、相互に意思疎通を図ること
など、不十分な内容になっています。
東京都が食品安全基本条例(仮称)を制定にあたっては、上記2点に加え、
●消費者の権利を明記すること
●影響の大きい子どもに対する「子ども基準」を設定すること
●トレーサビリーティーを確立すること
が盛り込まれなければなりません。
東京都では、国の食品衛生法の一部改正で、保健所設置の自治体が「監視指導計画」を自主的に決めることが出来るようになりました。
大田区が、この「監視指導計画」を策定する時は、地域の事情に合わせて、計画に市民の意見が確実に反映されるようにしていく必要があります。
私たちが、食材を選ぶときには、その表示が頼りになります。安全な食品を口にしたい、また、子どもにも食べさせたいという私たちの当たり前の権利を保証するために、東京都の食品安全条例が、私たちにとって安心の出来る条例にしていきたいものです。