「議決」をすべき事項は、地方自治法に定められています。
「議決」するべき事項のうち、一定の要件を満たしている場合に限り、首長(大田区の場合は区長ですね)に決定の権限(=専決処分)を認めています。
つまり、議会にかけなくても、首長だけで決めることができてしまうのです。
「専決処分」した事項は、議会に報告することになっていますが、今回の臨時会において、「専決処分」した事項の報告が有ったわけです。
地方政治は、選挙で選ばれた行政のトップである首長(=大田区の場合は区長)とやはり同じく選挙で選ばれた議員で構成する議会(大田区議会議員:大田区は50人)の二つの異なる選挙で選ばれた二元代表が行う仕組みになっています。
議会には、執行機関である行政をチェックする役割が求められています。
この「専決処分」も、区政執行に支障をきたさないために定められている処分ですが、乱用すれば、議会のチェックを通さず決定されてしまうため、要件が決められているのです。
また、地方分権を推進していこうという地方分権、そして、議会をもっときちんと機能させようという議会改革の流れのなかで、平成18年に地方自治法の一部が改正され「専決処分」の要件が明確化されています。
これまでは
「議会を招集する暇がない」とされていた専決処分の要件が
「議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかである」に改められました。
市議会議長会が調査した結果によれば、平成14年1年間に地方自治法179条による専決処分を行った件数が一番多かったのは、51件でなんと大田区でした。2位の津市は44件と多いのですが、3位以下からは20件台になっており、大田区の51件は突出しています。一方で、三鷹市、調布市、千代田区、中央区、港区など52市は1件でした。
今臨時会に、専決処分されている6件のうち、工事の契約変更がそのうち5件あります。
大田区の専決処分が他の自治体より多いのは、こうした工事変更が頻繁に行われている結果であるとするならば問題です。工事は、計画的に行われるべきであり、仮に予測不能な事態に対応するため変更が生じたとしても、極力議会に諮るべきです。
12月28日には、第105号議案「職員の給与に関する条例」と第106号議案「職員の退職手当に関する条例」の一部を改正するために臨時会が開催されているように、臨時会開催によって対応することも可能なはずです。
今回の専決処分の処分日は、例えば小池の工事が2月15日など、全てが第一回定例会の最終日以前に行われています。
第一回定例会最終日には、教育委員の任命に伴う区議会の同意が行われています。仮に止むを得ない専決処分であったとしても、報告は、直近の第一回定例会に行うべきではなかったでしょうか。
今回の臨時会において、「大田区の専決処分を採用する際の客観的要件」や、「今後、専決処分を少なくしていくべきであるが区の見解や方策について」質問しました。
残念ながら、区としての客観的要件や方策についての答弁はなく、条例で工事の5%以内であれば専決処分は認められているというものでした。