二つの施設を視察して感じたのは、障害者と仕事の問題です。
「新蒲田福祉センター」の知的障害者の作業所では、知的障害によって一般の雇用関係に入ることが困難な方に、作業を通して、生活指導や就労指導を行い自立の援助をしています。
休憩も含み、9時半〜16時まで、部品の組み立てや容器のバリ取り、公園清掃などを行います。
私たちがうかがった時には、瞬間接着剤の容器のバリ取りやシャープペンシルの組み立て作業を行ってました。
現在の不景気の中で仕事を確保することは、容易ではなく、仕事の確保は大きな課題になっています。また、作業によっては、作業しやすいように、簡単な補助器具を作るなどの工夫が必要なこともあり、職員の方たちのご苦労がうかがえます。
「南六郷福祉園」は、障害の重い知的障害のある方に、日中活動の場を提供し日々の生活の充実を目指している施設です。
「南六郷福祉園」でも、しごとの活動の時間を設け、木工(木のおもちゃ作りなど)、リサイクル(空き缶つぶし)、陶芸、紙(牛乳パックからはがきなどを作る)、布(織り機を使ってコースターなどを作る)などの作業をしています。
二つの施設で行われている作業から得られるお金はわずかですが、ここで得られるお金が、当事者の、大きな励みになっているそうです。
「新蒲田福祉センター」での就労支援を経て、企業に就職する方がいます。ここ数年、就労者数が増加していることは喜ばしいことです。しかし、平成14年度に新蒲田福祉センターの就労支援を受けて新規に就労した方は、43名。就労相談の464件からみるとわずかな数字で、希望しても就労できない方が多い事がわかります。
区でも企業に働きかけをするなどの努力をし、これによって効果も出ていますが、企業自体の障害者の雇用への意識が変わらなければこの問題は解決しません。
障害者雇用に対する企業の義務はあります(民間企業で従業員が56名以上の規模なら1.8%など)が、罰金を支払うことで義務を免れている企業が多いのも事実です。
倒れやすいシャープペンシル先に集中して組み立てている様子が印象的でした。