優先入所基準に従い、必要度の高い方から順番に入居するしくみになっています。
ところが、実際には、早い順番の方が入所できずにいるという実態があります。
また、現在の優先入所基準が必要度の実態を反映しているのかという問題もあります。
そこで今回は、大田区の「大田区特別養護老人ホーム」優先入所基準について質問しました。
◆行政運営の基本◆
「行政手続法」は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、国民の権利・利益の保護に資することを目的に、1993年に成立しています。
特にこの透明性については、=行政の意思決定についてその内容及び過程が国民にとって明らかであること=と、意思決定過程情報の透明性についても確保するよう求めています。
また、法は、申請の公正な処理の確保のため、判断の基準をできるだけ具体的なもとしてあらかじめ用意しておき、行政上特別の支障がある時を除きこれを公にしておくことを義務付けています。
今回は、大田区政をこの「行政手続法」の趣旨に照らし合わせ、そのとおりに執行されているかという視点で、質問しました。
【優先入所基準とは】
大田区は、特別養護老人ホームの入所について、厚生労働省が「必要性が高いと認められる入所申込み者を優先的に入所させるよう努めなければならない」と定めたのを受け平成15年8月より「優先入所の基準」に従い評価を行う優先的入所をスタートさせています。導入前は、予約的な申し込みも含め、約3000人が待機していましたが、現在、その待機者は、約1400人になっています。
それでは、優先的入所になり、必要性が高いと認められる待機者が優先的に入所できているでしょうか。
区は、待機者を「優先入所基準」によりA=優先度が高い
B=優先度が中程度
C=優先度が低い
の3つのランクにわけています。
ところが、Aの優先度が高いと判定された方が、百十数人いて待機している方がいるにも関わらず、その方たちを飛び越しBの200番代でも入所できる状況になっています。必ずしも大田区が定めている優先入居名簿順に入所が行われていないのです。
待機者の中には、胃に穴をあけ胃から直接食物をとることができるようにする「胃ろう」や「インシュリン投与」など、医療的ケアを必要とする方がいますが、こうした医療的ケアを必要とすることで入所ができない場合があります。
特に胃ろうは、ここ数年飛躍的にその数が増えてきています。
平成19年2月に胃ろうやインシュリン投与など医療的ケアを必要とする方の割合は、大田区立の特養で19.3%でしたが、2年経った最近の調査では、胃ろうだけで26.0%にまで増えています。区立特養では、胃ろうの入所割合の目安を2割程度としている上、入所中に胃ろうになる方も多く、新たに胃ろうの方が入所するのは非常に困難な状況にあります。
医療的ケアの必要な方たちの問題は、今後の大きな課題のひとつと言えます。
一方で、優先度評価は
要介護度に1〜5点
認知症による問題行動に1〜2点
介護者の有無や状況に1〜5点
住宅の状況に1〜3点
の15点満点で行われています。
例えば、住宅がない場合には、3点取れますが、在宅で介護していると2点マイナスされた1点です。