特別養護老人ホームの入所は、待機者が多く、なかなか入所できないところに大きな問題がありますが、一方で、待機者の入所の順番を定める優先入所基準にも問題があることが、私、奈須りえの調査により明らかになりました。
私が議会で取り上げた結果検討会が報告書にまとめ、来年から優先入所基準が改善されます。
一方で、その時調査をして課題だと感じたのが、区立特養と民立特養の高齢者の受け入れの違いでした。
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大田生活者ネットワーク奈須りえです。
国の機関委任事務から自治事務にかわる地方分権は、単なる、税源移譲とその使途にとどまらず、日本の法体制のあり方をも変える大きな制度改革であると私はとらえています。
これまでは、国が法律を作り、それに従い地方が条例整備してきました。しかし、分権の本旨は、地域で起きている問題にまず、もっとも身近な自治体が国の法整備を待つことなく対処しうるしくみの構築です。
大田区で起きている問題に対し、区民の暮らしを守るため、そして区民の暮らしをより豊かにするため、国の指示を待たず大田区が何をすべきかという視点で発言します。
■区立特養と民立特養
”医療的ケアを必要とする方””困難ケース”受け入れに差があって良いか■
昨年の第一回定例会において、私が特別養護老人ホームの入所基準は実態を反映できなくなっているので見直すべきであると発言した結果、来年4月から見直されることになりおおいに評価しています。
さて、その際に、課題としてあげたのが、区立特養と民立特養の役割についてでした。当時、私が調査したところ、区立特養の医療的ケアを必要とする方の割合は26%。それに対し民立は15%と11%も低くなっていました。その後、区立特養は利用料金制を導入したため、医療的ケアのための介護報酬の加算措置や補助金が導入されない限り、指定管理者の法人努力で実施することになります。その後の利用料金制導入の議案に対する賛成討論の際に、区立と民立の役割を明確にしないと、現在、区立が受け入れている医療的ケアを必要とする方や一人暮らしなど身寄りがなくて一般的に施設から手間がかかるとされる「困難ケース」の方たちが受け入れられなくなる可能性があり問題。対処すべきと指摘しています。
■民立特養間にもある”困難ケース”受け入れ割合の差■
当時、区は違いについて調査すると答弁しました。私が発言したからか、区立特養の医療的ケアを必棟とする方の割合は26%と変わりませんでしたが、民立は18%と3%改善しています。一方で、今回の区の調査で特筆すべきは、民立特養でも医療的ケアを必要とする方の受け入れ割合に8%〜20%と大きな差があることが判明したことです。医療的ケアを必要とする方の受け入れに努力をしている民立特養がある一方で、そうではない施設もあるということです。
■区立も民立同じ介護保険制度のもと運営する施設■
区立も利用料金制を採用ていますので今や区立も民立も同じ介護保険制度のもと運営している施設です。民立だから、安易に利用者の入所を断って良い、選別してよいという理由にはなりません。区立であっても民立であっても、厚労省のサービス提供を拒む正当な理由「(入院治療の必要がある場合その他)入所者に対し自ら適切な指定介護福祉施設サービスを提供することが困難な場合」を拡大解釈することがあっては決してならないのです。
■区立民立等しく高齢者を受け入れる体制を■
そこで、質問します。
医療的ケアを必要とする方や一人暮らしの高齢者の受け入れを困難にする理由が、人員配置などの経費的な面にあるのであれば、区が、人件費を補助するなどして一定割合までは受け入れられるようにすべきではないでしょうか。今回、区は、指定管理者制度を継続し、区立特養を残しましたが区立と民立で高齢者の受け入れに違いがあってはなりません。
現在は、残念ながら、区立と民立に医療的ケアの必要な高齢者などに受け入れの差がみられますが、区立が利用料金制を採用した今、民立も区立並みの水準が求められていると言えます。
【大田区の答弁】
東京都の補助制度がスタートしたのでその推移をみたい。
=質問の背景に=
東京都が人件費補助をスタートさせ既に半年以上が経過しており、それが十分なかどうかの検証も含めての質問でした。
今回の議会に大田区は、区立特別養護老人ホームの指定管理者制度の事業者指定のための議案を上程しています。これは、今後、指定期間である5年間は区立特養が存続することを意味します。
本来、今回取り上げたような受け入れの差があってはならず、受け入れ拒否を回避できれば、区立特養は区立である必要もなくなるはずです。
議案上程の際に、区として区立特養を今後どうしていくのかその方針について質問しましたが、明確な方針を示すことなく、区立特養の指定管理者を指定しています。 早急に区は、検討すべきです。