被害者の救済も急がれますが、今後、取り組まなければならない問題のひとつが、アスベスト含有建材の問題です。
以前から区議会で取り上げ、また、東京都が大田区の臨海部・城南島で展開しているスーパーエコタウン事業でも指摘してきました。
飛散性アスベストは、飛散の恐れが大きく、危険性も大です。それに比べ、含有建材のスベストは、そのままでは飛散しないため、その対策に遅れが見られます。
しかし、これまで日本で使用されてきたアスベストの大半は、飛散性ではなく、含有建材の中に存在しています。
アスベスト含有建材は、一見アスベストが入っているかどうか分かりません。また、それを適正に処分するためには、手間とコストがかかります。そのために、通常の建材と共に、建設廃棄物として処理されてしまうおそれがあります。
現在の建設廃棄物は、建設廃棄物リサイクル法に基づき、リサイクルされています。建設リサイクル法では、アスベストは、解体現場において他の建材と分離され、アスベストとして適正に処理されなければならないことになっています。
しかし、アスベスト含有建材が、アスベストとして分離されず、他の建材に混じって処理されると、建設リサイクルの工場に持ち込まれ、粉々に粉砕され、再び、建材としてリサイクルされてしまう恐れがあります。
粉々に粉砕されることでアスベストが飛散し、また、アスベスト含有建材は使用されないことになったにもかかわらず、再度建材として使われ、市場に出回ることになります。しかも、ここで再生された建材は、アスベストが含有していないことになっている建材です。
ここで、アスベストの含有建材を適正に処理する仕組みを作っておかないと、アスベストは、半永久的に使用される結果になります。そして、その被害をこうむるのは、数十年後、つまりは、未来を担っていく子どもたちです。
疑わしきものは、アスベストとして処理する。他の建材と混ぜない。
この処理体制を作るためには、アスベスト検査・届出の義務化が欠かせません。