この間、大田区、大田労働基準監督署、解体業者、そして東京都に対して、再三にわたり安全なアスベスト除去工事のための十分な事前調査を要望してきました。
しかし、それでも、現在行われている解体工事は、安全なアスベスト除去のお手本にはなっていません。
どうしてでしょうか。
その理由について報告します。
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これまでの経緯で見えてきた問題点を列挙します。
①事前調査は届けられれば良く、その事前調査が適正かつ十分に行われたかどうかを大田区も大田労働基準監督署も東京都も届け出書面でしか確認していない。
②住民やアスベストセンターが要望した中立な第三者機関の調査を意味するのは、全面的な調査だが、2度目に行われた調査は部分的な調査でしかなく、1度目の不確実な調査が元になった判断がされている。
③こうした不十分な調査でありながら、住民からの指摘に対し大田区も大田労働基準監督署も東京都も調査を完全なものにするためのアクションをとろうとしない。
こうした状況に住民は、事実を指摘し、安全であること=アスベストが確かに天井の吹き付け材に無いことを再調査してほしいと要望しているだけであるにも関わらず、解体業者は弁護士を通じ「通知会社を非難」「誹謗中傷」と断じ、「名誉棄損」「信用棄損」「業務妨害」などという言葉を連ね、場合によっては損害賠償を請求することになるとなど住民を委縮させるような表現を使っています。
■アスベスト無しを第三者機関に証明させることがなぜできない?■
約1週間かけて、業者の主張する通りアスベストが無いことを第三者機関を使い証明すれば良いだけの話がどうしてこのような大げさなリアクションになるのか不思議です。
住民が約18000㎡という非常に大きな建物の天井の吹き付け材のほとんどを、たった一か所のアスベスト無しの調査結果をもってあとは目で見て同じだからアスベスト無しとしたことが本当に無いのか不安なので十分調査してほしいと言っていることのどこが「非難」であり「誹謗中傷」なのでしょうか。
しかも、アスベスト無しとした1回目の調査は、その後の2回目の調査で調査結果が「アスベスト無しから有り」「アスベスト有りから無し」など変わっているところが複数個所あるにもかかわらず、ここはアスベスト無しと言う1回目の調査結果を使い、2回目の調査をしていません。
また、転売に転売を重ねた建物であり、いつ改修されたかわからないと業者自身が住民の前で説明しているのです。
ちなみに住民は2回目の調査をした調査会社に対して、自分自身が行った調査結果では無い結果を以てなぜほとんどの吹き付け材を目で見て同じと言えるのか質問状を送っていますが何の回答も来ていないそうです。調査会社が調査結果に自信をもって回答できない状況は更に調査結果に対し不安を覚えるのも当然ではないでしょうか。
■費用負担ない中立的な国による調査方法を住民が提案〜それでも出来ない理由とは〜■
住民は、国土交通省の補助事業を使えば大田区や解体業者の負担なく調査できることから補助事業を申請するよう大田区に提案しましたが、それでも、大田区は調査をさせようとしません。
■23区任せの東京都の広域事務とは?■
東京都は「環境確保条例」124条でアスベストの飛散防止について定めています。
しかし、条例設置者でありながら、解体に伴うアスベスト対策にについての届け出事務は各区に移管したのでそれをどう運用するかは各区に任せているといいます。
私は、埼玉、川崎の市民団体やアスベストセンターとともにアスベスト問題に取り組んできましたが、9月9日に大臣あて要望書を提出する日に厚生労働省、環境省、国土交通省3省合同の通知文が出されています。
この文書からは、法改正には触れていないものの、現行の法令が遵守されるよう三省合同で、また都道府県等と連携し関係法令(建設リサイクル法、廃棄物処理法、大気汚染防止法、労働安全衛生法等)遵守することが読み取れます。
しかし、現場では旧池上トーヨーボールがよい事例ですが、通知文は、形式的なもので、通知を出して啓発パンフレットを作って対策済みとして済ませているとしか思えない状況です。
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大田区もダメ、東京都もダメ、国もダメ、労基は労働者だけ守る(?)で、区民の健康・生命は一体誰が守ってくれるのでしょうか。