大田区組織改正案から~工業振興担当課新設と、大田区がものづくり産業の集積をあきらめる時~
工業振興担当課の新設
工業振興担当課を新設すると言いうのだから、ものづくりに力を入れるのだと期待したい。
一方で、気になるのが、臨海部の工業者たちとの土地利用の協議が始まること。 大田区は、何を課題ととらえ、どう検討しようとしているのだろうか。
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臨海部と言えば、高度成長期に、公害防止の観点から工業者が移転し、産業集積を図った地域だ。 しかし、景気低迷、円高、グローバル化等に伴い生産拠点は海外に移転し、大田区の製造業の事業者数は、ピーク時の9000から、4000を切ったとも言われている。
廃業すると産廃業者が入ってくる、というか産廃業者にしか土地を売れないという話も聞く。
実際、土地利用調査をみると、大田区の臨海部の工業用地の土地利用は、ごみ処理や上下水道など供給処理施設や倉庫が1/2以上を占める地域も出てきている。 平成23年東京の土地利用より
今回の、土地利用に関する協議は、こうした土地利用の実態合わせ、昭和40年代という高度経済成長期に目指した臨海部にものづくり産業を集積しようという方針から、新たな方針を定めるための協議を開始したと言うことではないだろうか。
傍聴した都市環境委員会の中で、大田区が、環境産業と言っていたのは、産業廃棄物処理業など、供給処理施設のことだろう。
私が議員になって間もないころ、 7、8年かそれより前だろうか。 城南島に展開されようとしていた東京都のスーパーエコタウン事業により、産廃施設が大田区に増えてきたことに関り、大田区の基幹産業を産廃業とするのか、と発言をしたことがあった。
当時の斉藤助役が、そのようなつもりは無い、とものづくりにこだわり、答弁していたのが懐かしく思い出される。
臨海部の土地利用の協議とは、言ってみれば、ものづくりの大田区が産業集積を維持することをあきらめる形だ。
わずか、10年にも満たないその当時は、答弁だけだったかもしれないが、ものづくりを基幹産業にと言っていたのだ。
時代が大きく変わったと感じる。
一方で、大田区は、空港跡地を国家戦略特区の区域として申請している。 規制緩和により、投資を呼び込もうというのが国家戦略特区だ。
ものづくり産業が空洞化している大田区において、大田区が国家戦略特区に申請することと、工業振興=ものづくりがどう結びつくのだろうか。 国家戦略特区として申請することで、大田区を投資先として選び、工業振興につながるのだろうか。
このような状況において、大田区が工業振興課を新設する。 大田区の工業振興課を作ることで、何をしようとしているのか注目したい。