オランダのワークシェアリングの背景には、EUの均等待遇(①男女ともに均等に待遇する②同じ業務には同じ自給を支払う③年金・社会福祉を保障する)がある。
数字で見る限り、オランダのワークシェアリングが、特に進んでいると言った印象は無かったが、評価すべきは、同じ仕事に対しては同じ賃金を支払うことが,労使で合意されていることだ。
パートタイム労働のメリットは、いくつかあるが、教育を受ける時間をとることが出来ること、高齢者も働けることをあげたのは印象的だった。
また、パートタイム労働の問題として、①生活保障・社会保障を受けている人にとっては、最低収入の上にパート労働を行うと補償金をカットされる②男女のバランスが取れていない③男性フル、女性パートと言った構図が出来上がっている④低教育で出来る作業が多い⑤パートで昇進するのは難しい、と言ったことがあげられた。こうした問題を見る限り、均等待遇が補償されている分前進しているのかもしれないが、均等待遇の導入だけでは、ワークシェアリングは進まないというのが実感だ。
また、保育所の整備も今後の課題であると言うことだ。オランダのように、社会保障制度が整っている国であっても、なかなか進まないワークシェアリングだが、男女のワークシェアリングに関しては、ベビーブーマー(日本でいう団塊の世代)がリタイアした後には、女性のフルタイム化が必要になり、結果、相対的にワークシェアリングが進行することになることが予測されている。
日本においても同様の事態は予測されるわけだが、日本は均等待遇ではない。早期の均等待遇が望まれる。
オランダのパートタイム労働は、サービス業やブルーカラーの部分では進んでいるが、ホワイトカラーのパートタイム化は進んでいない。ホワイトカラーでの浸透が鍵ではないかという問いに対し、国家公務員や専門的知識を持つコンピューターのプログラマーなどの分野では浸透し始めている。また、SERの説明をして下さったお二人も週32時間と30時間の短時間勤務であるということだった。
これは、次の視察先であるGRIが自治体のCSRに取り組んでいるという視察結果ともつながることだが、自治体に対して、社会的な責任を持たせる動きがある中、いち早くホワイトカラーのパートタイム化ということで国家公務員が取り組んでいるのは、非常に意義深い。
ワークシェアリングが進まない原因として、オランダ人の勤勉な気質をあげていたが、ワークシェアリングの定着と、働きたい気持ち、あるいは、幸せの価値観といった部分の関係は無視できない。