日本の教員資格が、学生時代に授与されれば一生有効であることの問題提起を日本側からしたところ、マサチューセッツ州の教員資格が5年更新であることを教えられました。
5年毎の更新をするためには、一教科について150時間の研修が義務付けられています。そのため、2教科の資格を持つ教員は、150時間/1教科×2=300時間の研修を受ける必要があります。研修は、教員が選択できますが、校長が認定したものでなければ時間数として認められないしくみになっています。
日本の教員資格の問題を解決する一つの方法として大変参考になりました。
しかし、一方で、アメリカの教員は、夏期休暇中の過ごし方は本人に任せられており、研修に当てることも可能です。日本のように、夏期休暇中も教員として雇用され給与が支払われているといった位置づけではなく、夏期には2」か月程度の休暇があることを見込んでの年俸での給与体系が、こうしたことを可能にしているともいえます。
それ以前に、アメリカでは、公立校の教育費の大半は、自治体の固定資産税から捻出されています。ニューヨーク市において視察したサマースクールをセーラム市では行っていなかった原因が、マサチューセッツ州からの補助金が下りなくなったなど、一部州や国からの補助もありますが、基本的には自治体の固定資産税が教育費に使われています。
私の友人の住むコネティカット州フェアフィールドで、以前、教育費にもっと予算を使おう、そのためには固定資産税を上げようという市民と、そのままでよいという市民が二つに分かれ大きな論争になったと聞きました。そのくらい、身近であり、また、市民の意見が大きく影響するしくみになっているのがアメリカの公教育です。
セーラム市では固定資産税の60〜70%である$1500万が教育費予算として計上されているということでした。サマースクールも、その必要性からセーラム市では、市の予算要望として出し、セーラム市として運営していきたい考えであるそうです。
財源が市の固定資産税であることが大きくかかわってくるためか、校長や教員の人事権や選任の仕方も興味深い。
セーラム市の小学校は、7校それぞれが、音楽・体育・科学など学校ごとに特徴を出した運営を行っています。校長は、教員を雇用する権利を持つとともに次の校長を選ぶことが出来、学校の特長を後任校長に引き継ぐ。人気校はウエイティングリストがあり、入学希望者が空きを待っている状況です。
今後、三位一体の改革が進んでいく中で、地域が特色ある教育をどのように進めていくのかという視点で大変興味深い話を聞くことが出来ました。