週末、日本経済新聞では、プラスチックの焼却に伴う大きな記事がふたつもの掲載されています。
ひとつは、土曜日の東京首都圏版に「不燃ごみ減量 残る戸惑い」と題したプラスチック焼却開始と資源化に伴う問題についてのリポート。
そして、日曜日のファミリー経済エコノ探偵団では、燃えるごみの「不足」穴埋めと大きく書かれた記事。
行政が、埋め立て処分場延命を理由にスタートさせたプラスチック焼却ですが、サーマルリサイクルという一見「良いこと」のように思える方法をとってしても尚、様々な場面においていまだになぜ燃やすのかを問い直されています。
市民が問題であるとして発言してきたプラスチックの焼却の本質がようやく見えてきているのでしょうか。
これまで不燃ごみだったプラスチックが可燃ごみになっている自治体が増えています。
大田区は、今年10月から大田区全域でプラスチックは可燃ごみになりました。
焼却をスタートさせる理由を「東京二十三区清掃一部事務組合」や各自治体はは、埋め立て処分場の延命と説明してきました。
しかし、埋め立て処分場があとどれくらい利用できるのかという視点から見れば、経済成長が大きく、古紙などのリサイクルもまだ十分に進んでいなかった時期にこそ検討させるべき問題であって、清掃工場で処分するごみが減っているこの時期にプラスチック「焼却」がそじょうに上ったことに違和感を覚えます。
こうした時期に、日本経済新聞の日曜日のエコノ探偵団では、「廃プラスチックなぜ燃やす」というタイトルの下に大きく〜燃えるごみの「不足穴埋め」〜という見出しが掲載されました。
記事の中には、焼却炉メーカー関係者が匿名を理由に話した次のようなコメントが掲載されています。
しかし、ごみの量は自治体の想像以上に減少「せっかく焼却炉を作ったのに”ごみ不足”で連続稼動が困難なケースもあるようです。それなら廃プラも燃やした方がいいと考えたのかも知れません」(2007年11月4日(日)/日本経済新聞より)
私は、プラスチック焼却であれば、リサイクルをするべきであると発言してきています。
このリサイクルをするという意味は、「資源の有効活用」という側面と、「リサイクル費用を生産者が負担する=結果買った人、利用した人が負担する」と言う二つの側面を持ちます。
現在は、ごみになるプラスチックの容器包装類=ペットボトルや発泡スチロールのトレイ、シャンプーやリンスのボトルなどの収集運搬費用は、税金で自治体が負担しています。
これを、生産者が負担する仕組みを作ることにより、ごみにかかる税金の費用分担を利用する人・買った人へ明確にしようと言うのが、リサイクルの意味です。
現在、23区で、リサイクルに取り組んでいる、或いは取り組むと公表している自治体は、この現在のごみの処理の費用分担のしくみの問題点を十分に理解している自治体です。
ごみが減っている現実・資源を有効活用しなければならない問題・清掃費用にかかわる税金の使い方のあるべき姿・市民の健康への配慮・・・こうした視点から考えれば、とるべき方策は自ずと見えてくるのではないでしょうか。
ごみが減って連続稼動できない清掃工場がある現状で、プラスチック焼却を選択した理由は何でしょうか。