第三分科会において大田清掃工場建て替えの問題について発表しました。
ことしの4月からプラスチックは可燃ごみになってしまいましたが、それまで、長い間、東京23区では、プラスチックは「燃えないごみ」として分別収集されていました。
そうした中、23区の清掃工場で、唯一不燃ごみを焼却していたのが、大田第二清掃工場です。
この大田第二清掃工場と大田第一清掃工場が建て替えになります。
大田第一・第二清掃工場建て替えの問題について「とことん討論会」において23区民のみなさんにお伝えしました。
◆問題その1=規模が大きくなります
現在、第一工場は処理量600t、第二工場は420tであわせて1080tですが、これが600t、600tで、合計1200tの処理能力になり、ごみ処理能力が、180t増強されることになります。
ごみ量予測は、経済成長率をもとに算出されますが、最近ではGDPがマイナス成長になっていることもあり、また、市民のごみ減量意識の高まる中、過大な設備投資ではないでしょうか。
仮に増強するのであれば、他清掃工場の施設整備計画において、縮小計画を示すなど、23区全体での議論が必要であると考えますが、そうした議論も行われていません。
◆問題その2=もったいない!耐用年数未満で建て替え
大田第一、第二工場ともに平成2年3月に竣工しています。
第二工場は既に今年3月に閉鎖になっていますが、すると、実質稼動したのは18年間であり、清掃工場を管理運営する東京23区清掃一部事務組合が示す清掃工場の耐用年数20年〜25年を待たずに建て替えとなっています。
◆問題3=建て替えの理由は??
第二清工場は、当初より、不燃ごみであったプラスチックを焼却する工場として建設されました。
実際には、第一工場に持ち込まれる可燃ごみ(これまでの分別での可燃ごみなのでプラスチックを含まない)を第二清掃工場に入れることで、カロリー調整(プラスチックの多いごみを燃やすと高温になってしまう)をしています。
そのため、可燃・不燃の混合ごみを焼却する施設だったと言えるでしょう。
一組は、プラスチックを焼却するサーマルリサイクル開始により、不燃ごみ焼却施設(つまりプラスチックを中心にもやす清掃工場)が不要となったため、可燃ごみ処理施設として建替えると説明しています。
しかし、高温のプラスチック焼却に耐えられ、しかもこれまでも紙や生ゴミなどを混ぜて(つまりプラスチックを可燃ごみにしている現在の分別区分に近いごみ)燃やしていた第二工場が、新しい分別区分になることで処理に支障をきたすと言う説明は納得できるものではありません。
◆問題4=第二清掃工場のコスト・能力などの検証はしたのか
これまでもプラスチック焼却などにより、オーバーホールが多く、また、プラスチック焼却による薬剤投入量も多かったことでコストのかかっていた大田第二工場ですが、これまでのメンテナンス費用を出すよう建替え説明会の際に要望していますが、示されませんでした。
これは、全ての清掃工場にも言えることですが、工場毎のコストがこれまで示されてきませんでした。
ようやく、平成17年度から、減価償却費を除いた費用が出されるようになりましたが、他にもオーバーホールの費用などトータルコストを示すことで、清掃工場の機能やトンあたりの焼却費用を検証し、清掃工場の性能を比較検討することが可能になります。
結果としてメーカー間の競争を促すことが可能になり、随意契約排除にもつながります。
とくにプラスチックを焼却してきた第二工場の検証をすることは、今後の廃プラ焼却にも大きな影響を与えるものと考えます。
◆問題5=環境への影響が悪化します
現在も増え続けている臨海部への車両搬入台数が倍になります。
これは、これまで、不燃ごみは海を通じて運搬されていましたが、搬入されるごみはすべて清掃車によって運ばれてくるようになるためです。
◆問題6=住民不在のなか臨海部に集中する迷惑施設
埋立地の工業地帯に立地するため、周辺住民が不在で環境影響説明会においても、ほとんどの出席者は周辺工場の従業員です。
そのため環境に対する市民のこれが届きにくい状況にあり、結果として、環境悪化につながる懸念があります。
市街地にこうしたいわゆる迷惑施設を建設できないことから、埋立地などに集中する傾向にありますが、結果として臨海部の環境悪化は、風に乗り内陸部へ影響をもたらすものです。
現在の東京都の環境影響評価は、3000平米以上と定められ、事業ごと、施設ごとの環境をみるという点での評価しか行われていませんが、臨海部全体での総合評価が緊急の課題です。
◆問題7=プラスチック混入割合が高いごみを燃やして大丈夫か
建設する清掃工場の想定プラスチック混入割合は、約17〜18%であると説明を
受けましたが、大田区では、容器包装その他プラスチックのリサイクルをしていないため、既にプラスチック割合は22%を超えています。
工場の機能や安全対策に不安が残るとともに、想定以上のプラスチックが混入されることにより、薬剤投入量が増大したり、オーバ−ホール(故障)が増えたり、プラスチックを焼却していた旧第二工場のように耐用年数が短くなったりするなどの不安が残ります。
一部事務組合は、リサイクルをするかしないかは、各区事項であり、関与しないといいます。
つまり、23区がプラスチックのリサイクルをまったく行わなくても、焼却できるだけの余裕率をもっているのが現在の清掃工場の処理能力です。
更に言えば、ペットボトル・プラスチックのトレイまで燃やしても処理できる工場能力なら、23区でリサイクルした実績分は、清掃工場を削減できるということでもあります。
すでに10数区が、その他プラスチックのリサイクルをスタートしようとしています。
大田工場の建て替えは、二期に分かれています。
少なくとも、第二期工事はストップできるように、仮に工事を行うのであれば、住宅地に建設されている工場の建て替えをしないことを条件に建設することができるよう運動していきたいと思います。