宮城県、岩手県の災害廃棄物見直しに伴い、さらに現地での処理の必要性が無いことが明らかになってきています。
そこで、出てくるのが、そうは言っても、現地で焼却しても、焼却灰を処分する場所がないという意見。
果たして、現地に処分場は本当に無いのでしょうか。
通常、灰は、焼却処理し10%〜20%と考えられているようです。
今回の、仙台市の残灰率は50%と非常に高いのですが、これは、津波による土砂が混ざっているためだそうです。
東京都に持ってくる女川町のがれきは、約17億かけて建設した選別機の上をベルトコンベアに乗って流れてくるがれきを、トン当たり¥6800かけて選別するので、ほとんど木でした。
広域処理は、その、事前処理にもかなりの費用と手間をかけているようです。
そこまでして、広域を進める理由のひとつが、最終処分場の問題のようです。
■被災地には最終処分場が無い?■
岩手県、そして、宮城県にも灰を埋め立てる場所がないと言うのがその理由です。
そこで、5月1日と2日の視察の際に、最終処分場とその余力についての資料を求めたところ、平成21年度のデータですが、宮城県全体で、583万㎥の余力があると言う資料が出てきています。
■自区内処理できる仙台市は自前の大きな最終処分場がある■
仙台市が自区内で処理が進んでいることが取り上げられていますが、その大きな理由のひとつが、最終処分場を自前で持っているところにあります。
仙台市の最終処分場は2か所。特に石積埋立処分場の残余容量は483万㎥とケタ違いに大きいことがわかります。
■仙台市、宮城県の最終処分場が災害がれきのために使われていない■
しかし、仙台市は、仙台市以外の被災地から排出される焼却灰などの受け入れをしていません。こうした状況が、広域処理を選択せざるを得ない背景にあるということも、私たちは知っておく必要があると思います。
■宮城県環境整備事業公社も最終処分場を持っている■
一方で、宮城県には、(財)宮城県環境事業公社という「民間」が所有する最終処分場があります。こちらの残余容量は194万㎥。これも、決して少なくない容量です。
現地で処理できないから、いきなり広域になっている理由が、こうした、近隣調整ができていないことだとするなら、被災地から瓦礫を受託した県や、災害廃棄物処理特措法により、広域処理の調整の義務を課せられた国の役割とは一体何なんでしょうか。
当然、受け入れた場合には、これらの自治体や施設に何らかの経済的恩恵を与える必要があると考えますが、受け入れを検討すべきではないでしょうか。
■財政負担割合が処理方法を制限■
財政支援策もまた、広域処理を誘導する形になっています。
最終処分場の建設補助は、震災により1/3〜1/2に引き上げられたものの、莫大な費用と長期的財政負担を考えれば、二の足を踏むのが当然で、95%の補助率、23年度24年度は100%の広域処理を選ぶのは当たり前のことです。