区議会だよりをご覧になった方から、臨時会の「プレス車両購入議案」に反対した理由について質問を受けました。
自民・公明・共産・民主・みんなの党・たちあがれ日本ほか全ての会派が賛成しているのにネットだけが反対したからです。
今日は、その理由について、ご報告させていただきます。
*議案の態度と同時に、その理由についても明確にしていくことは大切で、なぜ賛成したのか、なぜ反対なのかを議員は、そして議会は区民に示す責任があると考えます。
議会改革の視点で言えば、区議会だよりの紙面に、単に、議案名と会派(議員個人名ではなく)だけの賛否の掲載は不十分で、もっと紙面を充実させるべきであると生活者ネットワーク奈須りえと北澤じゅん子は主張しています。
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◆大田区の清掃車のお下がりを使って、大田区の民間事業者が大田区のごみや資源を収集している!?◆
大田区は小型プレス車の買い替え年数を6年としてきました。
使用済みの車は入札により売却されるようになっています。
大田区のゴミや資源の収集は、直営と民間委託とにより行われています。
直営は、大田区が車を買い、大田区の職員が運転し大田区の職員が収集しています。また、民間委託の場合には、民間の事業者が車を買い、民間職員が運転し、大田区の職員が収集しています。
今回、大田区が車を買うということは、それまで使用していた車から買い替えるということになります。
例えば、平成20年度の売却先は大田区の資源を収集している民間事業者でした。大田区内の資源を収集する事業者が直営の使用済みとされているプレス車を使用できるのであれば、大田区の清掃車も耐用年数を延ばし、有効活用することはできないのでしょうか。
検討はしてきたのか。という質疑を平成21年にしたところ、区は耐用年数を7年にする検討をしているという答弁でしたが、いつ開始するのか示しませんでした。当初の質疑からは、すでに3年が経過をしています。
結果として、大田区の職員が運転するときには、「新車」で、民間の職員が運転する時は、大田区の車のお下がりでも良いということになってはいないでしょうか。
◆清掃車の仕様の特殊性が、競争性を阻害していないか!?◆
また、東京23区の清掃車には特殊な機能がついていて、その仕様の特殊さが指摘されることがあります。清潔に、安全に収集することが大前提ですが、仮に行き過ぎた仕様の特殊性があるとするならば、新たな民間事業者参入への障壁になる恐れもあります。他自治体、民間事業者には不要だが、23区にだけ必要な特殊性とは一体何なのか、いま1度大田区として検討する必要があるのではないかとこれも、以前に質疑しています。
しかも、この特殊性が、結果として特定のメーカーの清掃車を限定させていて、入札と言いながら、競争性を無くしています。
◆方針・目標なく漫然と民間にシフト◆
一方で、大田区のごみの一部は、民間の清掃会社に委託しています。民間委託の車は、民間事業者が購入し、民間事業者が運転手を雇い、区職員である収集職員が同乗して収集運搬事業を行っています。
区の直営車両は、区が購入し、区の運転者と収集職員が同乗して、収集運搬作業を行っています。
民間委託とは、車の購入と運転手が民間かそうでないかという意味であることがわかります。直営と民間の雇上会社の車両の割合は、東京都が清掃事業を担ってきた時代から引き継がれている区3分の1、民3分の2という比率に準じて収集が行われてきています。
大田区が小型プレス車の購入をするということは、大田区の直営車が今後も引き続き継続することを意味します。しかし、大田区にはごみ収集における官民のあり方についての明確な方針がありません。大田区では、清掃事業が東京都から大田区に移管された平成14年以来、清掃職員の採用をしていません。今後も採用を見送れば、近い将来、収集作業に影響が出ることは明らかです。
このプレス車購入の議案は、単なる価格の適否や競争性の確保の問題だけではなく、こうした背景がどのようになっているのかを明らかにしてこそ、十分な審議が行えるものと考えます。
そこで、議案上程時に以下の3点について、うかがいます。
①まず第一に、今回の議案の上程は、3年前に検討するといった6年の耐用年数を延長したうえでの上程なのか、また、延長していないのであればその理由などについては、審議の際に議会に示されるのでしょうか。
②次に、未だいに示されていない「行き過ぎた特殊な仕様が新たな参入者の障壁となっていないことを示す資料」は、今回の審議に当たり示されるのでしょうか。
③3点目に、今回の上程は、今後の官民の収集体制の方針や、ごみと資源量の変化、それに伴う配車体制などについて検討した結果の上程でしょうか。その基礎資料を議会に示して初めて議会としてこの議案の是非を審議できますが、資料は提出されるのでしょうか。できない場合はその理由をお示しください。
上程時にこうした点について、明確にするよう求めましたが、委員会審議においても明らかになりませんでしたので、反対しました。