〜民間建物のアスベスト処理費用1919万1千円は大田区が負担するべきか〜

補正予算の中に、民間建物のPCBとアスベスト処理費用1919万1千円が計上されています。
 大田区がアルプス電気㈱に売却した西地域行政センターの建物の解体にともなう処理費用です。

 昨年の土地と建物売却の議決時には説明のなかった費用。はたして大田区が負担すべきでしょうか。

議決時に説明の無かった費用負担

  この負担が、建物と土地売却に伴う費用でありながら議決時に議会への説明がありませんでした。

 旧西行政センターの建物売却の議決時に、私の質問に対し「解体費用はもたない」と説明しながら、「今回の解体に伴うアスベスト等の処理は解体費用では無い」という説明に納得できるでしょうか。
 特に成型板の除去は解体費用と不可分ですが、仮に区が主張するように言葉の定義から解体費用と位置付けていなかったとしても、質問した際に何故議会に対し、「解体に伴うアスベスト等の処理費用は大田区が負担することになっている」と説明できなかったのでしょうか。

一方で、説明されていればこの費用負担が妥当だと言えるでしょうか。

補助金交付の在り方
区は、これを、「負担金、補助及び交付金」として計上しています。地方自治法232条の2は「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄付又は補助することができる」と規定しています。

それでは、大田区が売却した建物のアスベスト等の除去費用を大田区が負担することが公益上必要だと言えるのでしょうか。

履行されていない覚書
 旧西地域行政センター移転に際して水道局跡地購入を議決する際、区は、

①駅に近いことから区民の利便性が向上する

②まちづくりとしての狭あい道路の拡幅

③公開空地
をそのメリットとして議会の合意を取り付けています。

 しかし、代替地である水道局跡地がたまたま駅近くに位置していただけで、大田区が、旧北地域行政センターの大森駅前への移転を撤回していることからも、「区が行政センター(現在の地域庁舎)を駅近くに配置するとして方針を持っていない」ことは明らかです。

 また、狭あい道路の拡幅は、西地域行政センター移転如何に関わらず建て替えに伴い行わなければならないものであり、企業の特別な配慮によるものではありません。合意書に示された公開空地も結局提供されていません。

 区が議会で示した「まちづくりへの貢献」は実現されておらず、公益性を見出すことはできません。

 議案質疑の際に、買主が負担すべき解体に伴うアスベスト等の処理費用を、譲渡後になぜ大田区が負担しなければならないのか質問しましたが区は「協定書に書いてあるから」というだけで、理由について回答を得ることができませんでした。このこと自体が何よりも公益性のないことを示しているのです。

代償の大きな旧西センター移転
 大田区は、行政センター移転のために結果として、用地取得費や建設費など20億円近い費用を投じています。土地と建物売却費用は14億3千万円ですから、大田区の持ち出しは約5億7千万円にものぼります。しかもこれに移転費用などを含めれば更に区の出費は大きくなります。
  まだまだ使用できた建物を明け渡し、莫大な費用を投じて、大手民間企業に区内に留まっていただいたことになりますが、さらに、売却した建物のアスベスト処理費用まで支払う必要があるでしょうか。そこまで便宜をはかって区内に留まっていただく努力を他の企業に対しても行っているでしょうか。学研はどうでしょうか。荏原製作所はどうだったのでしょうか。売却金額は定められた評価のもとに支払われており今回の事業そしてこの企業に対して補助金を出すなんら合理的理由は見当たりません。

 また、アスベスト処理に補助金を出すとするなら、なぜ、今回の解体工事にのみ補助するのでしょうか。特定の企業との協定を根拠にするなら、区長の恣意的裁量で、際限なく支出が可能になり「公平性」「妥当性」に欠くものです。

補助金交付の基準を明確に

 国では「補助金適正化法」を制定し補助金の支出基準や決定手続きなどを明確にしています。
 今後、地方分権が進めば、使い道に縛りがない包括的補助金制度の導入など自治体の裁量で使える財源が増えますが、補助金の支給基準や手続きを明確にしなければ、利権の温床になりかねません。

 大田区でも他の先進自治体のように補助金適正化基本条例を定め補助金支給の基本的な制度を整えるとともに各種事業別に補助金交付要綱を定め透明性を高め説明責任を果たせる制度とすべきです。


なかのひと