外郭団体や公営企業などは、民間の力を活用して行政ではできない行政目的を達成するため設立され運営されてきました。
 しかし、夕張市の事例に象徴されるように、経営監視機能が形骸化しているとともに、自治体への依存意識が強く経営努力に乏しいと言った点が問題になっています。
 
 大田区にも外郭団体や公営企業が存在していて、毎年、第二回定例会に、その経営状況について議会に報告があります。
 
 今日は、そのうちのひとつ、「蒲田開発事業株式会社」についての報告です。

 大田区は、最近、「蒲田開発事業株式会社」に関わりさまざまな動きをしています。果たして、これらは、現在、外郭団体や公営企業が持つ課題解決につながる対応なのでしょうか。
 
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 外郭団体や公営企業などは、民間の力を活用して行政ではできない行政目的を達成するため設立され運営されてきました。

 しかし、夕張市の事例に象徴されるように、経営監視機能が形骸化しているとともに、自治体への依存意識が強く経営努力に乏しいと言った点が問題になっています。

 特に、指定管理者制度の導入により地方自治体の出資法人や公共的団体などに限定されていた公の施設の管理業務が民間企業やNPOなどにもゆだねる事が可能になったため、業務を失う外郭団体がでてくるなど、その役割を存廃も含め見直す動きがでてきています。

 「蒲田開発事業株式会社」は、資本金1500万円のうち56.67%850万円を大田区が出資しています。
 毎年区に提出される報告書にもある通り売り上げを大田区に依存している外郭団体です。
 先ほど指摘し、今、全国で問題視されている外郭団体の持つ「経営監視機能が形骸化している」「自治体への依存意識が強く経営努力に乏しい」と言った課題はクリアされているのでしょうか。

■蒲田開発の持つ課題■
現状における蒲田開発は、

①その売り上げを大田区に依存しているにもかかわらず、第24期の「事業の概況と今後の見通し」にも記載されているとおり売り上げは大田区からの受注頼みであることがわかります。

②また、昨年の事業概況と今後の見通しには、蒲田開発を区職員の再雇用職場としての役割を十分に果たしているといった天下りのための組織であることを自ら認める問題のある表現はあるものの、付加価値に対しての人件費の割合を示す労働分配率が高いことを課題として取り上げていましたが、今年の事業の概況には、労働分配率さえ掲載されなくなっています。

③毎年課題となる新規自主事業の開拓についても、何ら効果がみられていません。

■何のための現役職員派遣か■
 しかも、区は、昨年第三回定例会において、蒲田開発に大田区の現役職員を派遣できるよう条例改正するなど、蒲田開発との関係を大きく変えようとしています。

■区議会にさえ秘密に行われている社長・取締役人事■
 今年の5月26日には、これまで慣例としてまちづくり系の助役・副区長のポストだった社長を秋山副区長から野田副区長に変えるとともに、新たに取締役のメンバーに森部長を就任させています。

そこで3点質問します。
【質問1:理由の見えない社長交代・現役部長の取締役就任】
何故社長を変えたのでしょうか。
秋山副区長が社長であることにどのような問題があり、野田副区長に変えることで何が達成できるのでしょうか。また、取締役に森部長が就任しましたが目的と期待する効果は何でしょうか。

【質問2:方針の見えない経営】
昨年の区の職員派遣条例改正も、まちづくりをしたいからと言っていますが、まちづくりの専門職がいないからと大田区では任期付き職員を外部から採用してきましたが、一方でまちづくりがしたいからと区の職員を外部に出すのでは、まちづくりの専門性に整合性がありません。
それでも蒲田開発の方針は、十分とは言えませんが、事業の概況を読むと見えてきます。つまりは、大田区からたくさん受託して売り上げを増やそうということのようです。
職員8人中7人が大田区の退職職員であり、社長も副区長。しかも今回、取締役に大田区の現役部長をおいたので、区と一体のような気持ちになっているかもしれませんが、蒲田開発は40パーセントを民間が出資する別組織です。あうんの呼吸で大田区の下請けを行ったり、大田区に協力していただいたりする言われはなく、公平性・中立性の守られた適正な契約関係に基づくことが前提です。
これまで、蒲田開発が大田区を利用して利益をあげようとする思惑は幾度となく説明されてきましたが、大田区が蒲田開発をどのように活用しようとしていくのかといった方針は全く見えてきません。
職員派遣の条例改正の際には、再開発の際の土地取得を蒲田開発にやらせると説明していますが、蒲田開発をどのようにしていくかは今後検討すると答弁しています。区の方針も無いまま、いつどこで決めたのかもわからず蒲田開発が取得した土地を公社がそして大田区が買い戻すなどあり得ません。
土地開発公社でさえ、先ほどの議論から解散が進められている時代に、さらに法的根拠に乏しく、財政基盤も不安定な資本金1500万円の株式会社に土地取得を任せ、万が一にも巨額の赤字を抱えた場合には、大田区が損失補てんをしなければならないことはないのでしょうか。
そこでうかがいます。
大田区が蒲田開発をどのように位置付け、どう活用していくのかといった方針が見えませんが、いつどのように示すのでしょうか。

【質問3:公営企業としての透明性の確保と説明責任】
外郭団体などの透明性が課題となっていますが、社長交代や取締役就任など重要な案件についても事前に何ら説明がありません。今後、議会に対し蒲田開発の透明性をどのように確保していくのかお答えください。

 いずれの質問にも明確な答弁は得られず、一体、区が今後蒲田開発とのつながりを強め何をしていこうとしているのか、説明されないままでした。
 議員の中には、それを容認する発言も見られました。
 夕張市の破たんは、市にその責任がありますが、一方で、それを容認してきた議会にも大きな責任があります。議員=議会が夕張市の財政状況悪化の歯止めにならなかったことを真摯に受け止め、大田区議会としても、そうした可能性がわずかでもあるなら、それを払しょくするための対策を講じなければなりません。

 「蒲田開発事業株式会社」の事業内容や経営状況の透明性を図るとともに、事業の適否を常にチェックしていくことは議会の責務であり、一部の議員の不透明な経営を容認する姿勢は改めなければなりません。