防災目的で設置されたはずの施設ですが、設置条例が必要な、運賃をとって人を運ぶ観光目的の船着き場であったことが明らかになりました。

震災以降、防災が重要であることを改めて突き付けられていますが、主目的を隠し、「防災」に便乗してはいけません。

大田区が行う「防災船着場」設置のどこに問題があるでしょうか。

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■防災が主目的と説明しながら、利用料金をとる観光船着場に■

防災目的で設置すると説明のあった「防災船着場」ですが、設置条例が必要な、運賃をとって人を運ぶ観光目的の船着き場であったことが明らかになりました。

防災船着き場であれば、条例設置は必要ないのです。

それを主目的が防災船着き場と説明するのは議会への説明責任を果たしているとは言えません。当初から観光に活用すると言ったと説明しますが、そうであれば、施設建設費の補正予算承認の前に、施設設置条例の議決をとるべきです。
そこで、目的が明らかになったはずです。

防災目的として整備費用を補正予算計上して議決をとり、その後、観光船着場に必要なバリアフリー工事・料金徴収や管理のために必要な小屋の設置費用などの増額を行うなど議会軽視、区民軽視もはなはだしいものがあります。

■防災船着場施設として不十分な立地・設計■

委員会において現地視察を行いましたが、現地は防災船着き場としての欠点があり、この立地が観光目的だったことを改めて確認させられました。
護岸が斜面になっており、船から荷降ろしをするには、設置したスロープを降りなければなりません。仮に、地震で船着き場として整備するスロープが壊れれば、荷降ろしはほとんど不可能です。

当初から指摘しているとおり、海老取川の羽田空港側ではなく、住宅地側に整備した方が、地震により壊れてしまうかもしれない橋を渡る必要もなく物資を供給できます。
海上輸送は、道路閉塞を想定した人や物の輸送ですから、直接届けたいところに接岸できることがよりリスクを軽減します。

空港側にこだわるなら、既に民間資本により整備されている「サンアイの船着き場」を協定等により使用可能にすることの検討を行えばよく、加えて、対岸には、既に船の係留場所が設置されているためそれらを活用することを検討する方が現実的です。

しかも、ここに防災船着き場を整備すると川幅の1/2以上がふさがれると共に、対岸が船の係留場所になっているため、船の航行への影響にも不安が残ります。

■中途半端でビジョンの無い観光利用■

また、あくまで副次利用と説明する観光利用も中途半端な計画です。
観光目的であれば、区内の呑川や多摩川など観光活用できる河川とそのポイントを区民とともに検討する場を設けた上で、船舶による観光の全体像を示した上で、観光目的の船着き場整備にあたるべきです。

■検討もされていない財政計画■

一方で、自治体財政悪化要因として、あげられるものに、交通事業があるそうです。これは、鉄道ではありませんが、交通事業のひとつではあります。

本来であれば民間事業者が営利目的で参入すべき分野であり、自治体の役割は、周辺都市基盤の整備による観光ポテンシャルの充実・向上であると考えます。

呼び水として仮に自治体が参入するにしても、税投入した設備投資費用と、利用料金の関係を明確に示し、設備投資費用をどのように回収していくのか示すべきですが、利用料金は、他自治体に横並びです。
利用料の考え方について質問しましたが、「たとえば10年で設備投資費用を回収するとともに、維持管理費を賄える料金設定にした」などという説明さえできませんでした。
はたして利用航行数など需要を見込んでの参入でしょうか。不安が残ります。

これらの視点から、「防災船着場」設置条例には到底賛成することはできず反対しました。
(反対はネット他1名。賛成多数で可決)