今日は、大田区の消費者団体連合会が主催した『住基ネットの概要と問題点』と題された学習会に参加しました。
講師はNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の奥津茂樹さん(写真)。
住基ネットは、個人の4情報(住所・氏名・生年月日・性別)を11桁の番号で管理し、それを全国3200の自治体間で共有するシステムです。
平年で年間約1兆円が投入されるこの住基ネットのメリット・デメリットは一体何でしょう。
【メリット】
・全国どこででも住民票を入手できる
・年金の現況届けが簡略化される
・パスポート申請の際に住民票が不要になる(ただし戸籍謄本は必要)
・NPOの理事届けに住民票が不要
等々
【デメリット】
・現在でも悪徳商法業者やストーカーなどは、住民票の大量閲覧(住民基本台帳法11条)を悪用し、高齢者を対象に訪問販売をしたり、元妻やこどもの居所を突き止めるなどしています。これが、住基ネットになったことで、それまで、自治体内の安全性のみを追及していればよかった情報管理ですが、全国約3200の自治体全体のの安全管理をしなければ、安全性を確保したことにならなくなります。(こうした覗き見を防ぐ手段として、閲覧の履歴を残すシステム作りが進められています)
また、これまで、住基ネットは、個人情報保護条例と抱き合わせで論じられてきましたが、実際には、個人情報保護条例は、5000名以上の個人情報を扱う民間業者が対象の法律で、区や自治体が管理する住基ネットの情報は対象になっていません。
今回の個人情報保護条例の成立は、法改正が前提ですが、住基ネットの民間利用を可能にする基盤を作ることになってしまったわけです。
現在、264の国や自治体の事務に限って使用の出来る住基ネットの情報ですが、将来、民間利用が可能になると、先ほどの11桁の番号によって、他の情報(逮捕暦や病歴など)とデータマッチングし、利用される可能がでてきました。
横浜市で住基ネットに不参加を希望者を募りましたが、結果、横浜市民の4人に一人が不参加の意思表示をしたそうです。郵送・或いは役所に持参する方法が選択できたにもかかわらず、持参したのが多かったというのは、積極的不支持の表れでしょうか。
もし、今、住基ネット参加不参加の意思を問われたら、皆さんはどうなさいますか?