講師: 津上俊哉氏  経済産業研究所 上席研究員

 今回の21研の研究会は、中国の経済事情に詳しい経済産業研究所の津上俊哉氏。
 私が香港にいた頃の中国から、また、一段と発展した現在の中国の状況を勉強するために、「日中・東アジア経済新時代とわが国の政策課題」−日本はこれからの中国とどう付き合うか−と題された研究会に参加しました。

 現在、中国の経済は大変好調です。昨年の日本の対中国輸出も、中国経済の好況を反映する形で伸びています。しかし、日本の全ての企業がその恩恵を受けているのかと言えば、そうでは無く、中国に需要がある鉄鋼・化学品等の素材、電子部品、一般機械、自動車、事務機器、携帯電話、デジカメ、家電製品・・・などを扱う大企業で、中小企業やそれらを取り扱わない大企業は、こうした中国の好況の恩恵は受けていないのが現状です。

 大田区内の企業もその殆どが中小企業で、鉄鋼や化学品などの素材を扱う企業も少なく、こうした恩恵にあずかっていないところが大部分かと思われます。

 中国をビジネスパートナーとして考えれば、国内の法整備や金融システム、中国内の地域格差、政治的リスクなど問題も多く抱えています。
 実際、中国に投資をして失敗したという例も耳にすることが少なくありません。
 
 しかし、私たちは、中国の隣人であることをやめるわけにはいきません。

 これまでの日本は、日本の強みである知的財産権を守る努力に力を注いで来ませんでした。日本の工作の精度や仕損品の発生度の低さなど、一見日本の強みであると信じられているものは、案外すぐに中国に追いつかれてしまうでしょう。しかし、知的財産権やソフト面での優位性は、まだ維持できるでしょう。

 隣には、まだまだ発展しようとしている巨大なマーケットを持つ国があるわけで、私たちは、その発展をただ横目で見ているのではなく、一緒に発展していく流れに乗っていかなければならないのだと目を覚まされた思いです。
 広東省辺りでは、ここまで儲かればというラインを確保できれば、それ以上の設けについては、パートナーに対し寛容であったりもするそうです。これは、広東省の経済状況が良いからかもしれません。

 投資先の選定のひとつの指標として大変面白かったのは、税収の少ない自治体には投資をしないほうが良いということでした。税収が少なければ、なんとか回収しようとする力が働くことも無いというのは、わからない話ではありません。結果、投資した資金を全て失うと言ったことにもなりかねません。