実は、その日に、「大田区特別区税条例改正について」の専決処分予定の報告が議会運営委員会にありました。
【専決処分】とは
議会が「議決」をすべき事項は、地方自治法に定められています。
しかし、次のような場合に限り首長(大田区の場合は区長ですね)に決定の権限(=専決処分)を認めています。
①議員が召集に応じない
②客足数に満たない
③議会を召集する暇がない、或いは議決しない
この権限に基づき決定した場合は、次の定例会において議会の承認を得ることになります。
当日の議会運営委員会において、この専決処分の内容とその理由が記されている資料が配布されました。
今回の「大田区特別区税条例改正」は、個人住民税の非課税限度額の引き下げるもので、所得割についてはこれまでの35万円を32万円に、均等割りについては22万円を21万円にするものです。
この条例の改正を専決処分で行った理由は、多分、③の「議会を召集する暇がない」であろうと思います。
区は、この条例改正の理由を生活保護/生活扶助の基準額が変更されたことに伴い引き下げると説明していますが、実際には、「地方税法の一部を改正する法律案」が国会において提案され、3月2日に衆議院を通過し、3月27日に参議院で可決したことに伴う改正であると言えます。
そこで、他区の状況を調べて見たところ、23区中、専決処分でなく議決をした区が7区。そのうち、会期を延期したり臨時会を開催した区は3区でした。
この法律の公布は3月31日ですが、参議院で可決された後の3月29日、30日に議決している区が2区ありました。
とするならば、大田区の議会の最終日3月28日に上程し議決することはできなかったのでしょうか。議案は、衆議院を3月2日に通過していますから、その内容も事前にわかったはずです。
他区の議員に確認したところ、目黒区では28日に概略の説明があり、31日午前中に議会運営委員会にて上程。議会運営委員会終了後、午後の本会議の後にも説明があったそうです。
国民健康保険の激変緩和措置は、当日に上程され当日議決。
一方の非課税限度額引き下げは専決処分。
どちらも、内容は事前にわかっていながら十分な説明が無いところは、問題です。前回も述べましたが、国にも勿論問題はありますが、しかし、区としてとるべきより良い方法は無かったのでしょうか。
費用弁償(議会が開催されれば議員には日当が支払われます)などから必ずしも良いと言い切れない部分もありますが、区民生活に関る決定を議論無しに専決で行うことを考えれば、平成8年に同様の条例改正を4月1日に臨時会を開催して審議・議決した過去の大田区の状況と、現在と何がどう変わったというのでしょうか。