松沢神奈川県知事の提出した多選禁止条例が総務企画委員会で否決

 松沢知事は、昨年、自身の知事在任期間を連続3選までとした「多選自粛条例案」を提出しています。
 
 今回、再び多選制限条例を提案した背景には、「5期目の福島県前知事が収賄罪で起訴されるなど、全国的に多選の弊害が指摘されことがあるとみられる」などという一部の報道もあります。
 しかし、今年5月に行われた自治体学会のプレフォーラムの際に、既に、「多選禁止条例をやります」とおっしゃっていましたから、あくまで自発的な予定通りの条例提出でだったのでしょう。と同時に、松沢成文知事のHPに、知事が1990年3月号の中央公論に県知事時代に既に、「首長多選禁止を条例化せよ」という論文を掲載していますから、知事自身の政治家としての理念と言えると思います。

 以前にも私のHPに掲載していますが、松沢氏は多選の弊害について、

①強大な権力を同一人物が長期間にわたって独占することで、政治の独裁化を招き民主主義の本質に反する恐れがある
②知事の個人的つながりが県庁内外に扶植され、人事が偏向し行政が側近政治化し、県政が私物化される危険がある
③県政がマンネリズムに陥り、職員の士気も沈滞して清新な県政が期待し難くなる
④知事と議会の間に一種のなれ合いが生じ、県政についての正常なチェック・アンド・バランスが保たれなくなる恐れがある
⑤県の個性が強くなり、国の施策の徹底が困難になりがちになる、などが挙げられている。これらに対する反論として、選挙で県民が判断するのであるから民主主義を認める限り差し支えないのではないかという考えがある。

といったことを挙げています。

 神奈川県の総務企画常任委員会では否決されましたが、一方で、多選自粛条例を既に成立させている自治体もあります。

 杉並区、川崎市、大分県中津市、神奈川県城山町などが既に制定しています。
 中野区でも自治基本条例の中に、首長の多選を自粛すると言う条項を盛り込み、知事の多選に制限を加えています。

 しかし、一方で、今回、神奈川県が反対多数で否決されたように、現在のところ、多くの自治体では、提案はされても否決されてしまっています。

 その理由として

①多選について、知事と市町村長とを区別する理由がない
②多選の弊害は選挙民の自主的判断に委ねるべきであり、それが民主主義の要請に合致し、法律でこれを禁ずることは憲法違反の疑いがある
③多選知事においては、行政が長期計画の多選知事においては、行政が長期計画の下に一貫して遂行でき、県の実情をよく知った行政が実施され、すぐれた人物が長期にわたって存在するなど公選制の利点が強く現われる、
⑤アメリカ合衆国の大統領や州知事とは、その性格・権能において比較にならない

 というのが、一般の反論であると松沢知事も指摘しています。
 
 こうした理由の中でも、全国知事会が、多選禁止反対の最も強い論拠としているのは、「法律による規制は憲法違反の疑いがある」というものです。
 
 しかし、一方で、昭和三十九年衆議院法制局は、多選禁止を法制化しても違憲ではないという見解を下しています。

 5期目の福島県前知事が収賄罪で起訴されるなど、全国的に多選の弊害が指摘されていることから、自民党は知事と政令指定都市の市長について4選以上の候補者は推薦しない方針を固め、来春の統一地方選から適用するということです。
 こうした動きが、今のところは、多選禁止、あるいは自粛の条例化に対して今ひとつ消極的な現状の流れを変えていく発露であると感じます。

 生活者ネットワークでは、議員を職業化、特権化を排除するため、その任期を長くても3期12年と定めています。

 議員よりも多大な権限を持つ首長の任期は、尚更、自身の持つ権限に制限を加えることが必要であると考えます。