第三回定例会おもな議案から

第三回定例会が開催されています。おもな提出議案と私の態度およびその論点を報告していきます。

 まず最初は、大田区の保養所の廃止条例。伊豆高原駅前の一等地に位置する区民向けの保養所です。
 老朽化は進んでいるものの近く気軽にしかも安価で行けると、区民から親しまれている施設です。

 活用方針も定まらないままの、とりあえずの廃止に私は反対しました。自治体の保有する保養所のありかたや、資産活用の視点からこの廃止が妥当なものか一緒に考えましょう。

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 第93号議案「大田区立保養所条例を廃止する条例」は、伊豆高原荘の廃止条例です。
 
 伊豆高原荘は伊豆高原駅近くで、しかも国立公園内という非常に立地のよい場所に位置しています。
  築40年が経過した施設は定期的な改修が行われなかったため老朽化が進み今後建て替えを選択するにしても一定程度の費用負担は避けられません。

委託報告書から

  区は今後の活用にあたり調査報告まとめました。
報告では、敷地が国立公園内にあることにより建築の制限を受けるため、建築主が変われば現在の大きさの建物を建てることができないことから、民設民営による保養施設やリゾートマンション経営などの可能性がない、あるいはかなり低いとしています。
 一方で、区が建設した建物を民間事業者が運営することについては、高い参入意欲を示す事業者が多かったことから、報告書は、区が建設(建て替え)した場合のコストと指定管理者制度を採用し、民間事業者が施設運営した場合の区の負担額について算出しています。しかし、直営保養所運営が、2億から6億の支出増加になると算定する一方、23区が民間の保養施設を活用するのが主流であるとして直営の保養施設の廃止を決定したものです。

売却ありきの報告書になっていないか
〜本当に23区は民間保養所活用が中心か〜

 報告書は、23区が保有する保養所施設の数(191施設)のうち、民間保養所が164か所あることから民間保養所の活用を85.9%として、23区の保養所は民間施設の活用が中心であると結論付けています。しかし、区所有の保養所数と契約している民間保養所の数から割合を算出することの数字的意味合いがあるとは思えません。
  実際に直営の保養所を持つ区は、23区中17区と74%。民間保養所だけの区は6区です。民間保養所を活用せず、直営保養所だけを保有する区も9区あります。
 民間保養所を採用したいのであれば、区のコスト負担や区民の負担とそれに対するメリット、たとえば、区民が同じ費用負担でより良い施設を数多く使用でき、しかも、大田区の費用負担も軽減されるといったシミュレーションを示すべきであり、数字の示しかたとして適切ではない数値により、民間保養所との契約が進んでいるような印象を与えています。
 また、何をもって保養所の民設民営を検討したのか意図が判明できませんが、区民サービスのひとつとして区民に対し、民間より安く旅行していただく保養所という性格上、ホテル業や旅館業と比べ採算が良いはずがありません。当初より売却を想定しているということでしょうか。

〜他の区立保養所を含めた大田区の保養所のありかたで検討すべき〜

 たまたま、建て替え時期を迎えているために伊豆高原荘をどうするかが問われていますが、本来比較検討すべきは、大田区の保養所をどうするかという視点であり、当然、「休養村とうぶ」との比較も行わなければならなかったではないでしょうか。ロケーションに伴う区民の利用からいえば、伊豆高原荘が圧倒的に優位であり、「休養村とうぶ」も含めた活用方針であるべきでした。
 発注した大田区の視点なのか、受託した調査会社の能力の問題なのか、公有財産の総合的な活用方針という視点があまりにも欠落した不十分な調査であると言わざるを得ません。
しかも、この調査をもって、今後、保養所としての活用は無くなった場合のこの土地と建物をどうするのかという方針は、現在のところ全く示されていません。長く遊休地として所有することこそ無駄です。利用価値はないと言いながら駅前一等地を民間に売却するのでしょうか。

〜保養所でなければ別荘用地として売却で良いのか〜

報告書には、民間開発事業者が、別荘用地として開発意欲があることがわかりますが、区民の立場での活用の可能性については全く提示されていません。
仮に、直営保養所から民間保養所へと保養所の在り方についての方針を転換したとしても、学校教育施設や社会教育施設としての検討もあってしかるべきです。
現に、伊豆高原学園の再整備事業には、未利用期間を保養所用途として利用することにより赤字負担を軽減できるとしています。
伊豆高原学園改修時期には代替施設として活用することになっていますが、その後の活用も視野に入れた改修も検討すべきではないでしょうか。

〜保養所廃止は売却を誘導しないか〜

 保養所廃止を前提に進めれば、他の活用方針がかすみ、安易な売却を容認する素地を作ることになりかねません。
  公有財産の有効活用という視点であまりにも不十分な検討結果による、また、今後の活用方針さえ定められていない「伊豆高原荘」保養所施設の廃止条例ではないでしょうか。


なかのひと