行政に関わり、様々なことを知りたいと思われた市民なら一度はぶつかるのが情報公開の壁です。「知りたいことを知ることができない」といっても、その内容は様々です。
①存在しない
②存在するが公文書ではない(=メモ書きなど)
③存在するが公開されない
④存在したが保存年限を過ぎ或いは誤って破棄された。

 昨年の7月に「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)が制定され、来年4月より施行となります。法の施行により、公文書の基本的な考え方や範囲、保存年限と保存年限を過ぎた文書の扱いなどが変わります。
 情報公開法制定の際には、各自治体が相次いで条例を制定しましたが、今回の「公文書管理法」制定に伴う自治体の条例制定の動きは鈍いようです。
 
 先日、NPO法人情報公開クリアリングハウスが行った講座「公文書管理の制度と実践を学ぶ」に参加しました。 
 今日は、そこで学んだ公文書管理法について報告します。

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 最近の私はアスベストの問題だけで動いていると思われているかもしれませんが、そんなことはありません。確かにアスベストで時間をとられて、活動報告が滞っているのは事実。11月14日に参加した講座の報告です。経緯と法の特徴についてはクリアリングハウスの三木由希子理事から。自治体の課題については大宮法科大学院大学の早川和弘准教授からうかがった。
 
【公文書管理法案に至る経緯】
 議論は、歴史的文書の保存・利用から始まった。一方で年金記録問題やC型肝炎感染疑い者のリストの放置や海上自衛隊補給艦の航泊日誌誤廃棄など相次ぐ行政文書管理不備による不祥事が、公文書管理法制定検討の契機。
 それまで、各省庁で保存年限やしくみがばらばだったが、情報公開法契機に統一基準が設けられた。保存年限がくると廃棄か国立公文書館に移管となったが、移管は各省庁が決めるため、実際には大量に廃棄され移管が進まなかった。

 また、他にも、
①作成されるべき文書が作成されていない
②個人メモと公文書の差異が恣意的
③管理がずさんで適正に管理されていない
④公文書の改ざん・差し替え
⑤不適切な記録作成
⑥電子的記録の管理・保存や位置づけが不十分・不明確
⑦公文書の保存期間満了前の誤廃棄
⑧歴史的に重要な公文書の公文書館への移管が進まない
などの課題がある。

 こうした経緯から、公文書管理法制定に至る。

【公文書管理法の大きな特徴】
 
■「国民共有の知的資源」と「みんなのもの」であることを位置づける。
■これまでの行政文書に加え、独立行政法人・特殊法人など法人文書が加わる。
■単なる意思決定から意思決定過程までに作成義務が広がる。
 文書を作成することを原則としていたのが、合理的に跡付け、または検証することができるよう文書を作成しなければならなくなった。
■保存年限過ぎた文書を歴史文書として保存(内閣総理大臣が決定)

 
【自治体での公文書管理の制度化に向けての課題】

 地方自治体(公共団体)の活動には必ず文書が介在する。その文書の管理について、既に規則や規定で定めているとして条例化していない自治体がほとんど。条例制定が進まないのもそこに理由があるようだ。しかし、規則や規定は、議決を必要とせず、住民の知らない間に変えることができるため問題。条例を制定し別表で保存年限など規定すべき。
 例えば、逗子市では非開示決定のおりた文書については保存期間を延ばし、公開できない理由が無くなったら見せる。説明責任は、今生きている人だけではなく、将来世代へのアカウンタビリティでもある。
 また、自治体のアウトソーシングが進んでいるが、外部化した行政の事業を担っている法人のその事業に関する情報への網かけも条例制定により可能になる。
 自治体においても、保存期間過ぎた文書は、歴史文書として保存することになる。国は内閣総理大臣が決めることになるが、自治体は、区長部局と教育委員会に分かれており、委託するという方法もあるが、住民もいれた組織が判断するのが良いのでは。情報公開審査会と兼ねている自治体もあるようだが、歴史文書についての知識も必要で人選が重要。方法論的には部局部会制か。

【公文書管理法を学んで】
  
 公文書管理法制定の契機となる問題意識の①〜⑧のほとんどを経験した者としては、法施行に大きな期待をよせるものです。
 特に、
●公文書が「国民共有の知的資源」と「みんなのもの」であると位置づけられることで、原則公開となること。
●自治体のアウトソーシングにより外部化された事業の部分の法人情報が公開されること。
●意思決定過程までの文書作成義務により、いつどこで誰がどのような理由で決めたのか明らかになること。
●昔の記録を残す仕組みを作ること。

これらを条例により整備することで、透明性と説明責任を果たせる大田区政を実現すべきです。

 
 一方で、この報告の書き出しを政治に関わり、としたかったのですが、意思決定のほとんどが行政文書によるもので、議会の文書とは、議会・委員会の発言記録がほとんどであることに愕然としました。少なくとも大田区においては、これまで、純粋に議員提案により制定された条例も無く、また、大田区から提出された議案を否決したことも修正したことも無いので、意思決定過程の記録を必要とする場面そのものが少なかったと言えるかもしれません。
 議会は、意思決定過程に入っていないと言っても良いほどに、公文書とその公開の議論から離れていて、それ自体も大きな問題であると感じました。

 しかし、本来の議会のあり方に立ち返れば、議会における文書保存のあり方も議論していく必要があるでしょう。


なかのひと