「大田区特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例」は、区長の諮問に応じ、議員報酬等の額について審議するための条例です。

その審議事項が、現在は、議会の議員の報酬の額並びに区長及び副区長の給料の額となっていますが、これに、区長、副区長の退職手当の額についての意見も述べられるようにする条例改正です。

平成23年第一回定例会において区長退職手当を減額する条例改正案が議員提出されました。残念ながら継続審議となりそのまま改選を迎えたため、廃案となってしまいました。

こうした一部議員の問題提起を受ける形で、今回、区長と副区長の退職手当について、区長ご自身が問題意識を持たれ、加えて、副区長の退職手当につきましても諮問できるようにすることは大いに評価いたします。

しかし、今回の議案は、議員提出議案が問題提起した区長の退職手当の額の多寡という問題にとどまらない特別職報酬審議会についての在り方の問題になってきます。

であるとするならば、今回の報酬審議会の改正が、単に、区長及び副区長の退職手当について諮問できるとした部分的な改正は大いに問題があると言わざるを得ません。

■包括外部監査による指摘を無視した条例改正■

なぜなら、平成22年度の包括外部監査のテーマのひとつが人件費であり、その対象に「大田区特別職報酬審議会」が含まれていたからです。

この包括外部監査の結果報告書は平成23年1月に提出されており、今回の条例改正は、大田区としてその内容を受けての改正となっています。

包括外部監査の指摘する現状の大田区の報酬審議会の問題点を検討・改善すること無く、単に、区長・副区長の退職手当にとどまっていて良いのでしょうか。

平成23年第一回定例会において議員提出された区長退職手当の改正議案や、その後、区長が選挙公約に退職手当減額を盛り込んだ流れをみておりますと、ただ、選挙を意識した区民の人気取りともとられかねないものです。

特別職は、地方公務員法が原則適用されません。一般職の給与等については民間の給与実態などを調査した上で特別区人事委員会の勧告を受け、区議会の審議を経て条例で定められますが、特別職はそうではありません。

「議員や区長、副区長等への就任は公選、または、議会の選挙や同意によることが必要であり、住民や住民の代表である議員の意思に基づいています。そのため、その報酬についても慎重な決定が必要である等の趣旨がその背景にあると考えられると」包括外部監査報告書にも示されています。

■包括外部監査の指摘■

こうした背景から現状の報酬審議会について、次のような問題があると包括外部監査報告書は指摘しています。

条例改正に関わる部分の指摘として、

1.審議事項が、議員報酬、区長及び副区長の給料の額になっているが、監査委員、教育委員、選挙管理委員など他の特別職の給料も審議事項として加えていないことに積極的理由を見出しにくい。これら特別職の給料についても審議事項に加える。

2.会議を公開にし、議事録を公表する。

3.委員に公募枠を設ける。

運用上、委員を固定化しないため任期を2年にしているにもかかわらず、固定化している。委員を公開すべきであるといった指摘もありました。

つい先日、外部包括監査を受けた取り組みについて報告がありましたが、報酬審議会についての取り組みの結果にはふれられていませんでした。

■「違法行為」「不当行為」■

外部包括監査の結語に「違法行為」と「不当行為」という言葉に言及している部分があります。

監査人は国の法律との関係のなかで、一自治体として取り組む限界についてふれていますが、国の制度改正を待っている間も、私たち区民は日々生活し、その生活の一部をこの大田区に委ねています。

違法でないから放置するのではなく、今、大田区として可能な限り行えることに取り組むことこそが、区民生活を支える大田区の改善、特に今回の場合には、特別職の報酬の在り方という点での改善につながるのではないでしょうか。

莫大な費用をかけ、行った外部包括監査の結果を活かせてないという点から反対いたします。

 
なかのひと