「生き生きと暮らせる地域のための市民活動の役割」〜老いても病んでも障がいがあっても〜

 いま(1月24日から1月31日まで)「NPO・区民活動フォーラム」が開催されています。

 この「NPO」区民活動フォーラムのオリジナル企画講座として「ひとにやさしいまちづくりを進める大田区民の会」が朝日新聞の元論説委員で国の審議会委員なども務める大熊由紀子さん を講師に講演会「生き生きと暮らせる地域のための市民活動の役割」〜老いても病んでも障がいがあっても〜を企画・開催しました。
 
 二時間の講演があっという間に感じられる非常に楽しい講演でしたが、日本の福祉に対する基本的な考え方や制度を考えさせられる意義深い充実した時間になりました。
 
 まず、最初に、デンマークの1959年法
  どんなに知的なハンディキャップが重くても、人は街の中のふつうの家で
 ふつうの暮らしを味わう「権利」があり、
 社会はその権利を実現する「責任」がある
を引用し、ふつうの暮らしの意味を説明してくださり、いかに、日本の高齢者や障害者が「ふつうのくらし」から遠い存在であるのかを実感しました。

 ふつうの家とは
玄関があり、キッチンがあり、居間があり寝室がある。
 生活には
仕事があり、余暇があり、家族がいて友達がいて恋もする。

 こうした視点で、大熊由紀子さんは、「あなたのまちの安心度を測る100のチェックポイント」を作っています。

 少し、時間がかかりますが、まちを見る目、制度を見直す目がかわります。
 ぜひ、みなさんもお試しください。
 
 こうした視点も含め、大熊由紀子さんは
虫の目(ミクロ)
鳥の目(マクロ)
歴史の目(時間)
と称して、活動において、現状をきちんと見極める目を養うようすすめます。

 当日の資料の中に、1985年当時の日本とデンマークの高齢者福祉の違いが記載されている表と、1989年の介護対策検討会設置を皮切りに日本の各地で始まったこと変わったことが記されている大熊由紀子さんのご著書の抜粋があります。
 大熊由紀子さんも書いていらっしゃいますが、これをみると、日本も変わる・変えられると希望が持てる内容です。

 老いた、病気になった、障がいをもった私たちが、どのような暮らし方・生き方を望んでいるのかを明確にし、そのために「100のチェックポイント」で地域を検証しながら、ひとつひとつ問題解決のために活動していくことが市民活動の重要な役割のひとつであると痛感しました。

 そのための大熊由紀子さんの素敵なアドバイスは
☆クローさん+ゆきさんの世直し7原則☆
・ぐちや泣きごとでは世の中は変えられない
・従来の発想を創造的にひっくり返す
・説得力あるデータに基づいた提言を
・市町村の競争心をあおる
・メディア、行政、政治家に仲間をつくる
・名をすてて実をとる
・提言はユーモアにつつんで

 考えさせられると共に、私も、あらためて市民活動の大きな可能性を再確認し「やる気」が湧いてきましたが、活動フィールドを持つ多くの方たちが、同じ気持ちになられたようでした。

 

◆大熊由紀子さんプロフィール◆

 東京大学教養学科で科学史と科学哲学を専攻したのち、科学・医学記者を目指して朝日新聞社に入社。科学部次長を経て、1984年、論説委員に。2001年までの17年間、主に医療、福祉、科学、技術分野の社説を担当。
 2001-2004大阪大学大学院人間科学研究科教授(ボランティア人間科学講座ソーシャルサービス論)。
 2004- 国際医療福祉大学大学院教授(医療福祉ジャーナリズム)、千葉県参与(福祉医療政策担当) 

◆大熊由紀子さん著書◆

★『恋するようにボランティア〜優しき挑戦者たち』(ぶどう社)

★『寝たきり老人のいる国いない国』(ぶどう社)

★『福祉が変わる医療が変わる』(ぶどう社)

★『患者の声を医療に生かす』(医学書院)

★『こんなまちなら老後は安心』(共著・CLC)

★『ケアという思想』(編著・岩波書店)


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