今日は、鶴見で行われた講演・シンポ「クボタ問題から住民に広がるアスベスト被害を考える」に参加しました。
鶴見駅の近くで1975年まで、旧朝日石綿工場が操業し、アスベストを取り扱っていました。
その周辺に、アスベスト吸引が原因と見られる「胸膜肥厚班」の住民がいることが明らかになりました。
今年4月に、読売新聞が、横浜労災病院の武内医師が周辺に被害者がもっといるはずであり検診の必要があることを訴えた記事を掲載。マスコミもその後、この件について報道を行っています。
旧朝日石綿工業と朝日スレートは合併しできた「エーアンドエーマテリアルズ」は、今年8月に中皮腫で死亡した元従業員の遺族に2500万円、労災認定を受けた元従業員に1400万円の保証を行う協定を横浜シティーユニオンと締結しています。
現在、「エーアンドエーマテリアルズ」は、アスベスト被害の疑われる当時周辺に住んでいた住民への健康診断の費用を会社負担しながらも、周辺住民でアスベストの被害によりアスベスト疾患を発症したと思われる人たちに対しては、因果関係が無いといっています。
クボタの所在する尼崎市では、市が健康診断の費用負担をしています。
一方の横浜市は当初は、会社(エーアンドエーマテリアルズ)が負担するからと健康診断をしない理由を説明していました。現在は、国がやるべきものであるという理由で、未だに周辺住民に対する健康診断を行っていません。
市民の健康や福祉に係る重要な問題を会社任せの対応ですませてよいものだろうかと「神奈川労災職業病センター」事務局長の西田さんは発言されていました。
現在被害者となっていて、当時周辺に住んでいた池田達哉さんは、当時、周辺で干す洗濯物は真っ白になっていたと話されていました。また、近隣の小学生は道端に落ちている石綿でお団子を作って遊んでいたそうです。
こうした、当時の子どもたちがひどい状況にあったことなど、何がどうであったのか実態を明らかにすることが重要です。
今後は、現在の中皮腫や肺がんなどアスベストが原因の疾患を持ちながら、それがアスベストによるものであることに気付いていない潜在的な被害者の掘り起こしや、企業の情報公開、自治体として所有する保険データなどの公開などが求められます。
尼崎市において、クボタが情報を公開し、実質的な補償を被害者である周辺住民にまで行ったのは、被害者とそのご家族、NGO、NPO、医療関係者、市民、行政、労組、議会の一体的な取り組みの成果であることを強く感じます。
鶴見での旧朝日石綿での被害は顕在化したばかりであり、今後の粘り強い取り組みが期待されます。
大田区にも、過去にアスベストを取り扱ってきた工場があり、その周辺住民から被害の声があがりつつあります。