〜大田区議会 第二回定例会 提出議案から〜

 洗足小池は、もともと湧水を活用した灌漑用池として作られ利用されてきました。
 その後、昭和9年から一昨年まで、釣堀として使われていましたが、今回、大田区が公園として整備します。

 小池は洗足池とともに、この地域に親しまれている水辺空間のひとつです。現在も、湧水は、平均で一日あたり144㎥を確保しています。湧水を活用した、自然に近い形での池の公園整備が求められます。

 しかし、区が示した公園整備は、池の周辺を埋め立て池の周遊性を確保すると共に、池の底をセメント固化材で固め池の容積を4割も削減するものです。

 工法の問題の第一点は、この、池の底をセメントで固めてしまうことにあります。

 池を小さくしてしまうことで、水の循環を早め、湧水を活用した水質浄化を図ろうとしていますが、池の底をセメントで固めてしまうことにより生態系の連続性が損なわれる恐れがあります。

 昨今は、河川の改修などにおいても、動植物の生育環境を配慮し、コンクリートの三面護岸張りの工事は採用されなくなってきています。

 また、水の入れ替えによる一時的な浄化では、将来にわたり、メンテナンス費用が発生することも予想されます。
 自然の循環や再生力を活用した水質改善が求められます。

 二点目の問題は「鉛」の対策です。
 小池は、長期間釣堀として使用されていたため、池底におもりとして使用されていた「鉛」が沈んでいます。
 今回の工事で、「鉛」はヘドロとともにセメント固化材を使って固めるという説明ですが、セメントで固めても長期間水にさらされていれば「鉛」が溶け出す恐れがあり、「鉛」そのものの浄化にはなりません
 特に、今回の工事では、セメントの強度を通常の1/2程度としているため、鉛が池の水に溶け出す可能性がより高くなります。

 また、こうした整備内容の問題とともに、公園整備事業の決定方法にも改善されるべき課題があります。

 西地域行政センターまちなみ整備課は、小池の整備方針を、平成18年12月の都市整備委員会において
①「池の回遊性の確保」
②「水辺景観の向上」
③「水深の改善」
の三点であると説明しています。

 この公園整備の3つの柱により、この整備工事が土木工事であり、自然環境の保持・保存が優先されていないことがわかります。

 小池の公園整備は、貴重な水辺空間をいかに自然と調和させながら環境に配慮して整備していくかという問題であり、地域行政センターのまちなみ整備課だけで解決する問題ではありません。公園整備だからまちなみ整備課という縦割りではなく、池をどのようなものと位置づけどのようにしていくのかといった方針をまず明確にした上で、たとえば、「道路公園課」「環境保全課」「まちづくり課」「区民生活課」なども交えたプロジェクトチームを立ち上げるなど、部署を超えた問題解決の体制づくりや、単に区民向け説明会に留まらない区民が地域の環境を守る意識を高める協働の仕組みが必要です。
 
 一方、この議案は総務財政委員会に付託されました。
 
 しかし、総務財政委員会では、この工事内容についての説明は行なわれませんでした。公園整備や環境の所管、都市整備委員会においても、委員会での説明を要望してはじめて説明が行なわれる状況でした。
 
 池の水質改善の方法にも複数あります。その中から何故今回の方法を選んだのか、その比較検討資料や結果は、資料請求されなくても、当然、行政の説明責任を果たすため、議決にあたり議会に示されなければならないものです。
 この議案だけの問題にとどめることなく、今後の意思決定における、関係部署間の連携と決定に関わる検討資料の公開・説明責任を果たすことが必要です。